5.2 給与格差

国際給与比較

日本のITエンジニアの給与は、欧米と比較して著しく低い水準にある。

国・地域ソフトウェアエンジニア平均年収(目安)
アメリカ(シリコンバレー)約2,000〜3,000万円
アメリカ(全国平均)約1,200〜1,500万円
ドイツ約800〜1,000万円
日本約400〜600万円

給与が低い理由として、多重下請け構造による中間マージンの発生、年功序列による評価制度、IT部門が「コストセンター」と見なされる傾向などが挙げられる。特に深刻なのは、この低賃金が業界の大多数を占める下請けエンジニアの現実だという点である。手取り20万円台で生活する「IT貧困層」は珍しくなく、技術書の購入や勉強会への参加すら経済的に困難な状況にある。この環境では技術的な成長は望めず、スキルが伸びないから給与も上がらないという負のスパイラルに陥る。さらに、限られたポストを巡ってエンジニア同士が足を引っ張り合う心理も生まれやすい。「自分だけが優位に立ちたい」という競争意識から、知識やノウハウを共有せず囲い込む文化が形成される。他社から派遣されたパートナー社員に対しては、補助的な作業が中心となりやすく、スキルアップの機会が制限されるケースも見られる。

この給与格差は、優秀な人材の海外流出や、そもそもIT業界を志望しない学生の増加につながっている。

参考・免責事項
本記事は2025年1月時点の情報に基づいています。統計データや調査結果は時期により変動します。