水耕栽培コスパ検証2025|iDOO実機調査で見えた意外な収支結果
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「水耕栽培キットを買えば野菜代が節約できる」という情報をよく見かけますが、本当にコストパフォーマンスは良いのでしょうか。電気代や栄養液などのランニングコスト、実際の収穫量を詳しく調査してみました。その結果、育てる野菜によって収支が大きく変わることが判明しました。同じように家庭菜園に関心をお持ちの方に参考になれば幸いです。
水耕栽培キットの基本とコスト構造
調査対象製品の概要
今回調査したのは、Amazon等で人気のiDOO水耕栽培キット(ホワイト/ブラック)です。同時に12株の野菜を栽培できる家庭用モデルで、LED植物育成ライト、自動水循環システムを搭載しています。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 本体価格 | 11,565円(税込) |
| 栽培可能数 | 同時12株 |
| LEDライト | 23W(野菜/果物モード切替可能) |
| 定格電力 | 36W |
| 水タンク容量 | 4L |
初期投資の内訳
水耕栽培を始めるには、本体以外にも必要なものがあります。
初期投資合計:約13,192円
・本体キット:11,565円
・液体肥料(ハイポニカ500ml):1,309円
・種(レタス等):318円
・本体キット:11,565円
・液体肥料(ハイポニカ500ml):1,309円
・種(レタス等):318円
なぜ水耕栽培が注目されるのか
水耕栽培キットが人気を集める理由は、主に以下の点です。
土を使わず室内で栽培できるため、虫がつかず農薬不要です。また、季節や天候に左右されず年中栽培可能で、野菜価格の高騰時にも影響を受けません。LEDライトにより日当たりの悪い部屋でも育てられ、種から収穫まで成長過程を楽しめる点も魅力とされています。
ユーザーレビューでは「種を植えてからたった2日で発芽し、20日前後で収穫できる速さに驚いた」という声が多く見られます。従来の土耕栽培では40〜50日かかるレタスが、水耕栽培では3週間程度で収穫できるという成長速度の速さが特徴です。
詳細コスト分析と収支シミュレーション
月間ランニングコストの詳細
水耕栽培を続ける上で毎月かかるコストを計算してみました。
| 項目 | 月額費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 電気代 | 約350円 | 1日12時間使用、電気単価27円/kWhで計算 |
| 栄養液 | 約50円 | ハイポニカ1,650円で数ヶ月分使用可能 |
| 水道代 | ほぼ0円 | 月間使用量は微量のため |
| 合計 | 約400〜500円 |
電気代計算の根拠
定格電力36W × 12時間 ÷ 1000 = 0.432kWh(1日)
0.432kWh × 30日 × 27円 = 約350円/月
定格電力36W × 12時間 ÷ 1000 = 0.432kWh(1日)
0.432kWh × 30日 × 27円 = 約350円/月
収穫量の現実:予想外の事実
ここが最も重要なポイントです。実際の収穫量を調べたところ、スーパーで売られている玉レタスとは大きく異なることが分かりました。
| 比較項目 | 水耕栽培キット(12株) | スーパーの玉レタス |
|---|---|---|
| レタスの種類 | リーフレタス、ベビーリーフ | 玉レタス(結球レタス) |
| 収穫量(重量) | 約160g(12株合計) | 300〜500g(1玉) |
| 栽培期間 | 約3週間 | - |
| 形状 | 葉物、平らな葉 | 結球した球形 |
重要な発見
実機での栽培実績によると、iDOOキットで12株のリーフレタスを育てた場合、収穫量は約160g(スーパー価格換算で160円相当)でした。つまり、水耕栽培12株はスーパーの玉レタス半玉程度に相当します。
実機での栽培実績によると、iDOOキットで12株のリーフレタスを育てた場合、収穫量は約160g(スーパー価格換算で160円相当)でした。つまり、水耕栽培12株はスーパーの玉レタス半玉程度に相当します。
野菜別の収支シミュレーション
育てる野菜によって収支が大きく変わることが判明しました。
ケース1:レタス栽培の場合(1年間)
・初期投資:13,192円
・月間ランニングコスト:500円
・月間収穫価値:約160円(レタス半玉相当)
・年間コスト:13,192円 + 6,000円 = 19,192円
・スーパーで同量購入した場合:約9,600円
→ 9,592円の赤字
・初期投資:13,192円
・月間ランニングコスト:500円
・月間収穫価値:約160円(レタス半玉相当)
・年間コスト:13,192円 + 6,000円 = 19,192円
・スーパーで同量購入した場合:約9,600円
→ 9,592円の赤字
ケース2:バジル栽培の場合(1年間)
・初期投資:13,192円
・月間ランニングコスト:500円
・月間収穫価値:約2,400〜3,000円(50g×12パック相当)
・年間コスト:13,192円 + 6,000円 = 19,192円
・スーパーで同量購入した場合:約28,800〜36,000円
→ 9,600〜16,800円の節約
・初期投資:13,192円
・月間ランニングコスト:500円
・月間収穫価値:約2,400〜3,000円(50g×12パック相当)
・年間コスト:13,192円 + 6,000円 = 19,192円
・スーパーで同量購入した場合:約28,800〜36,000円
→ 9,600〜16,800円の節約
スーパーでのバジルは50gで200〜250円、少量パック(7〜17g)だと160〜200円と非常に高価です。一方、水耕栽培では1株から月に50〜100g程度収穫できるため、バジルを頻繁に使う方にとっては大きな節約になります。
コスパを左右する重要ポイントと推奨事項
コストパフォーマンスが良いケース
こんな方には経済的メリットがあります
- バジル・ハーブ類を頻繁に使う:スーパーでの単価が高く、少量しか売っていないため、年間1〜2万円の節約が見込めます。
- ベビーリーフ・サラダミックスとして活用:新鮮さが価値となり、毎日少量ずつサラダを食べる習慣がある方に最適です。
- 趣味・教育目的も兼ねる:育てる楽しみ、子供の食育、無農薬野菜へのこだわりがある場合、経済的メリット以外の価値も得られます。
コストパフォーマンスが悪いケース
こんな方には向いていません
- 玉レタスの代替として考えている:収穫量が全く足りず、電気代の方が高くつきます。
- 大量の野菜が必要:ファミリー向けには不十分で、スーパーで買う方が安くつきます。
- 初期投資を早く回収したい:レタスだけでは赤字になるため、純粋に節約目的だけの場合は避けるべきです。
- メンテナンスが面倒:週1回の清掃、水の交換、栄養液の管理が必要です。
最適な活用方法
調査結果から、以下の使い方が最もコストパフォーマンスが良いと考えられます。
推奨される栽培スタイル
・バジル6株 + リーフレタス6株の混合栽培
・ハーブメイン(バジル、パセリ、ルッコラ等)
・ベビーリーフ・サラダミックスとして少量ずつ収穫
・バジル6株 + リーフレタス6株の混合栽培
・ハーブメイン(バジル、パセリ、ルッコラ等)
・ベビーリーフ・サラダミックスとして少量ずつ収穫
耐久性とメンテナンスの注意点
長期的なコストパフォーマンスを考える上で、耐久性も重要な要素です。
ユーザーレビューでは「8ヶ月でポンプ故障」という報告があります。根が絡まることによる故障リスクがあるため、週1回程度の定期的なメンテナンスが推奨されます。故障時は交換部品代(数千円)または本体買い替え(11,565円)が必要になる可能性があります。
総合的な判断基準
水耕栽培キットの導入を検討する際は、以下のポイントで判断することをおすすめします。
経済的メリットを優先するなら、バジルやハーブ類を中心に栽培する計画を立てましょう。新鮮さや安全性を重視するなら、多少の赤字でも価値があると判断できます。育てる楽しみも含めた総合的な価値で評価するなら、趣味の一環として取り組むのが良いでしょう。
また、2年目以降は初期投資が不要となるため、年間18,000円程度の節約効果が期待できます(バジル栽培の場合)。長期的な視点で判断することも重要です。
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