センニチコウ観察記録2025|千日色あせぬドライフラワーの女王

センニチコウ観察記録2025|千日色あせぬドライフラワーの女王

更新日:2025年10月18日

この記事を音声で聞く

コロンとした丸い形が可愛らしいセンニチコウ。その名の通り千日咲き続けるかのように長期間色あせず、ドライフラワーとしても人気の花です。実は私たちが花だと思っている部分は「苞」で、本当の花は小さく隠れています。暑さに強く育てやすい性質と、フラワーアレンジメントでの活用法について調査・考察してみましたので、同じように関心をお持ちの方に参考になれば幸いです。

センニチコウの基本情報

分類と原産地

センニチコウ(千日紅、学名: Gomphrena globosa)は、ヒユ科センニチコウ属の春播き一年草です。パナマやグアテマラなど、熱帯アメリカを中心とする熱帯各地に100種以上が分布しています。

基本情報
科名:ヒユ科センニチコウ属
原産地:熱帯アメリカ(パナマ、グアテマラ)
草丈:15~70cm(品種により異なる)
開花期:5月~11月
花色:赤、ピンク、紫、白、黄色
耐暑性:強い
耐寒性:弱い(一年草として扱う)

名前の由来

「千日紅」という名前は、花が長期間咲き続け、しかも色が褪せにくいことに由来します。100日咲き続けるサルスベリ(百日紅)よりもさらに長く楽しめることから、「千日」という名がつきました。

センニチコウの開花期間は5月から11月と約7ヶ月間にもわたります。比較的長く楽しめるコスモスでも開花期間は約2ヶ月間ですが、センニチコウは半年以上も色鮮やかな姿を楽しませてくれます。

英語名は「Globe amaranth(グローブ・アマランス)」。Globeは「球体の」という意味で、丸い形を表しています。日本では「団子花」「千日草」「千日坊主」などの別名もあります。

日本への渡来

センニチコウが日本に入ってきたのは江戸時代とされています。日本の暑さと乾燥に強い性質が気候風土に適しており、古くから仏花や園芸植物として親しまれてきました。

苞と花の秘密

花に見えるのは「苞」

センニチコウの最大の特徴は、私たちが花だと思っている丸い部分が、実は「苞(ほう)」と呼ばれる葉が変化したものだということです。

苞(ほう)とは
苞は葉が変化したもので、花を保護する役割を持ちます。センニチコウでは、この苞が紫、ピンク、白、黄、赤に色づき、私たちの目を楽しませてくれます。苞は花そのものよりも丈夫で長持ちするため、長期間美しい姿を保つことができます。

本当の花はどこに?

センニチコウの本当の花は、苞の隙間にある小さな1mmほどの黄色い部分です。濃い紫や朱色の苞に対して、花は黄色で小さいながらも目立つ色をしています。よく観察すると、この小さな本当の花を見つけることができます。

同じように苞が花のように見える植物には、ハナミズキ、ポインセチア、ミズバショウ、カラーなどがあります。

主な品種

センニチコウには様々な品種があり、それぞれ特徴が異なります。

品種名 特徴
センニチコウ ピンクや紫色の花を咲かせる一年草。草丈50cm程度。
キバナセンニチコウ 明るいオレンジ赤色の花。草丈80cmと大型。地下に球根を作る多年草。
ストロベリーフィールズ 鮮やかな朱色が人気。キバナセンニチコウの園芸品種で切り花に最適。
ファイヤーワークス スパイシーな香りの濃ピンク色。横に広がり大株に。冬越し可能。
バディーシリーズ 草丈15~30cmと低い。鉢植えや花壇の縁取りに最適。

暑さに強い性質

センニチコウは熱帯原産のため、暑さと乾燥に非常に強い植物です。真夏の高温期でも花が休むことなく咲き続け、日本の夏にぴったりの性質を持っています。

育て方のポイント

  • 日当たり:日当たりと風通しの良い場所を好む
  • 水やり:乾燥に強いため、土の表面が乾いてから水やり。過湿は立枯病の原因に
  • :水はけの良い土を選ぶ
  • 肥料:多肥にすると葉ばかり茂り花つきが悪くなるので控えめに
  • 種まき:5月頃、発芽適温は20~25℃

ドライフラワーと活用法

ドライフラワーに最適

センニチコウはドライフラワーに最も適した花の一つです。その理由は、観賞している部分が苞であり、もともと硬くカサカサしているため、乾燥させても色や形がほとんど変わらないからです。

センニチコウの苞は花そのものよりも丈夫で長持ちします。生花の状態でも硬く、乾燥させても色があせにくいため、まさに名前の通り「千日」色が変わらないのではないかと思うほどです。

簡単なドライフラワーの作り方

センニチコウは水分が少ないため、特別な道具を使わなくても誰でも簡単にドライフラワーにすることができます。

ハンギング法(吊るして乾燥)
1. センニチコウを摘み取り、葉を全部取り除く
2. 数本ずつ束ねて麻紐やワイヤーで縛る
3. 風通しの良い日陰に逆さに吊るす
4. 3~4日でドライフラワーの完成

多彩な活用法

センニチコウは様々な場面で活躍します。

用途 特徴
仏花 長期間色あせないため、古くから仏壇に飾られてきた
切り花 花もち10~20日と長い。オールシーズン流通
フラワーアレンジメント 欠かせない素材。丸い形がアクセントに
ドライフラワー リース、スワッグ、花のクラフトなど多様に利用
庭植え・鉢植え 初夏から秋まで長く楽しめるガーデニング素材

花言葉

センニチコウの花言葉は「永遠の恋」「色あせぬ恋」「乙女の真心」「調和」「謙虚」「純粋」「純潔」などがあります。

花言葉の由来
「永遠の恋」「色あせぬ恋」は、長期間色が褪せずに美しさを保つ性質から。「乙女の真心」「謙虚」は、野原や河川敷で集まって咲く姿が、風に揺れるかわいらしく素朴な印象を与えることから名付けられたとされています。

園芸初心者におすすめ

センニチコウは、暑さや乾燥に強く、日本の気候風土に適しているため、園芸初心者でも非常に育てやすい植物です。種まきから簡単に育てることができ、5月から11月まで長期間花を楽しめます。

切り花として飾ったり、ドライフラワーにしたり、花が咲いた後も様々な楽しみ方ができるセンニチコウ。その丸くて可愛らしい姿は、見る人を明るい気持ちにさせてくれます。ぜひ育ててみてはいかがでしょうか。

動画で詳しく見る

YouTubeで見る ↗

参考・免責事項
本記事は2025年10月18日時点の情報に基づいて作成されています。植物の生育には個体差や環境による違いがあるため、記載内容が全ての場合に当てはまるとは限りません。記事内容は個人的な考察に基づくものであり、園芸や栽培に関する専門的な判断については、専門家にご相談ください。