ショウジョウソウ観察記録2025|夏のポインセチアと赤く染まる葉の秘密

ショウジョウソウ観察記録2025|夏のポインセチアと赤く染まる葉の秘密

更新日:2025年10月18日

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夏から秋にかけて、鮮やかな朱赤色に染まる葉が美しいショウジョウソウ。サマーポインセチアとも呼ばれるこの植物は、実は花ではなく葉が赤く染まります。空想上の生き物「猩々」に例えられたその姿には、熱帯アメリカ原産ならではの魅力が詰まっています。個人的な関心から調査・考察してみました。同じように関心をお持ちの方に参考になれば幸いです。

ショウジョウソウの基本情報

植物としての特徴

ショウジョウソウ(猩々草)は、トウダイグサ科トウダイグサ属に分類される一年草です。学名はEuphorbia cyathophoraで、原産地はアメリカ合衆国中部からアルゼンチンにかけての熱帯・亜熱帯地域です。草丈は50センチから1メートル程度に成長し、茎は直立します。

名前の由来
ショウジョウ(猩々)とは、中国の伝説に登場する赤い顔をした猿に似た空想上の生き物のこと。葉の一部が赤く染まる様子が、この猩々の赤ら顔に例えられたことが名前の由来です。

花と苞葉の特徴

花期は7月から10月で、茎の先端に杯状花序を集散状につけます。しかし、目を引く朱赤色の部分は実は花ではなく、花序に近い苞葉(ほうよう)です。苞葉は対生し、独特のバイオリン状の形をしており、基部が赤く色づきます。

実際の花は小さく目立ちませんが、赤い苞葉が観賞価値を高めています。杯状花序の中には雄花数個と雌花1個が包まれており、花に花弁はありません。雌性先熟で、雌花が先に成熟します。

赤く染まった苞葉の様子がポインセチアに似ていることから、「サマーポインセチア」「アニュアル・ポインセチア」とも呼ばれています。実際、ショウジョウソウとポインセチアは同じトウダイグサ科トウダイグサ属の仲間です。

分布と生育環境

日本には明治時代(19世紀後半)に渡来し、当初は園芸用に栽培されていました。しかし逸出の結果、現在では奄美群島、大東諸島、琉球諸島の畑地や原野に広く自生し、小笠原諸島にも帰化しています。世界中の熱帯・亜熱帯地域でも野生化しており、帰化植物として分布を広げています。

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赤く染まる葉とポインセチアとの関係

苞葉が赤くなる仕組み

ショウジョウソウの赤く見える部分は、実は「苞葉(ほうよう)」と呼ばれる変形した葉です。花期になると、茎の先端部分の葉が朱赤色に色づき、まるで大きな花が咲いたかのように見えます。

下部の茎葉は互生し、卵形で長さ3〜10センチ、幅1〜5センチ程度です。一方、花序に近い苞葉は対生し、独特のバイオリン状の形をしています。この形状と色の変化が、ショウジョウソウの大きな魅力となっています。

ポインセチアとの共通点

ショウジョウソウとポインセチアは、どちらもトウダイグサ科トウダイグサ属に属する近縁種です。両者には以下のような共通点があります。

特徴 ショウジョウソウ ポインセチア
科・属 トウダイグサ科トウダイグサ属 トウダイグサ科トウダイグサ属
観賞部位 赤く染まる苞葉 赤く染まる苞葉
花期 7〜10月(夏〜秋) 11〜1月(冬)
草丈 50cm〜1m 30cm〜3m
耐寒性 弱い(一年草扱い) 弱い(室内管理)

花言葉

ショウジョウソウの花言葉は「祝福」「良い仲間」です。鮮やかに色づく姿が、祝いの席や仲間との楽しい時間をイメージさせることから付けられたと考えられています。

類似種との違い

ショウジョウソウとよく混同される植物に「ショウジョウソウモドキ」があります。日本では太平洋戦争後に沖縄県に帰化しました。両者の違いは以下の通りです。

ショウジョウソウモドキとの見分け方
ショウジョウソウモドキは、苞葉が長卵形〜長楕円形で、総苞腺体が円形です。また、頂部の色づきが白〜赤紫色になる点が異なります。学名も混同されやすいため、注意が必要です。

育て方と注意点

栽培環境

ショウジョウソウは熱帯原産のため、日当たりと風通しの良い環境を好みます。真夏の直射日光にも強く、暑さには非常に強い植物です。

栽培のポイント

  • 日照:日当たりの良い場所で育てる。日照不足では色づきが悪くなります
  • 土質:特に選びませんが、排水性の良い土が理想的。赤玉土小粒7:腐葉土3の配合がおすすめ
  • 水やり:鉢植えは土が乾いたらたっぷりと。地植えは基本的に降雨のみでOK
  • 肥料:多肥は不要。地植えは元肥のみ、鉢植えは5〜9月に緩効性肥料を少量

種まきと繁殖

ショウジョウソウは種まきで増やします。発芽適温は20〜30℃と高いため、種まきは4月下旬から5月が適期です。直根性で移植を嫌うため、観賞する場所に直まきするか、ポットまきして早めに定植します。

こぼれ種でもよく育ち、翌年も自然に発芽することがあります。種は花の下にあるプクッとした果実の中に入っており、果実がベージュ色に熟したら採取できます。

注意すべき点

⚠️ 毒性について
ショウジョウソウはトウダイグサ科の植物特有の白い乳液を含んでいます。枝葉が傷つくと白い乳液が出て、皮膚につくとかぶれることがあります。植え替えや剪定などの作業をする際は、必ず手袋を着用してください。

また、耐寒性が弱く、気温が5℃以下になると枯れてしまいます。雪や霜が当たると枯死するため、寒冷地では一年草として扱うか、冬は室内の日当たりの良い場所に移動させる必要があります。

病害虫

ショウジョウソウは病害虫の発生がほとんどありません。丈夫で育てやすく、初心者にも向いている植物です。日本では散歩道や畑のあぜ道などにも咲いているのをよく見かけ、半野生的な強健さを持っています。

参考・免責事項
本記事は2025年10月18日時点の情報に基づいて作成されています。ショウジョウソウの乳液には皮膚刺激性があるため、取り扱いには十分ご注意ください。栽培に関する詳細は、お住まいの地域の気候や条件に合わせて調整してください。植物の毒性に関する情報は一般的なものであり、個人差がある可能性があります。万が一、皮膚のかぶれや体調不良が生じた場合は、速やかに医療機関にご相談ください。