サイコロを振る。コインを投げる。明日の天気を予測する。不確実な世界を数学で扱う方法、それが確率論である。機械学習モデルの出力は確率であり、データ分析は確率的な推論である。不確実性を定量化する言語を身につける。

確率 標本空間 事象 条件付き確率 独立

確率の基本概念

標本空間(Sample Space)Ω

起こりうるすべての結果の集合。

例:サイコロ → Ω = {1, 2, 3, 4, 5, 6}

例:コイン2回 → Ω = {HH, HT, TH, TT}

事象(Event)

標本空間の部分集合。

例:「偶数が出る」= {2, 4, 6}

確率(Probability)

事象 A が起こる可能性を 0〜1 の数値で表す。

P(A) = 0: 絶対に起こらない

P(A) = 1: 必ず起こる

確率の公理(コルモゴロフの公理)

公理 内容
非負性 P(A) ≥ 0
正規化 P(Ω) = 1
加法性 互いに排反な事象について P(A∪B) = P(A) + P(B)

条件付き確率

条件付き確率

P(A|B) = P(A∩B) / P(B)

「Bが起きたとき、Aも起きる確率」

例:「雨が降っているとき、傘を持っている確率」

独立性

独立(Independence)

P(A∩B) = P(A) × P(B) のとき、AとBは独立。

一方が起きても他方の確率に影響しない。

例:異なるサイコロの結果は独立。

余事象と加法定理

P(A') = 1 - P(A)(余事象)

P(A∪B) = P(A) + P(B) - P(A∩B)(加法定理)

実務での応用

WEB開発での応用

A/Bテスト:クリック率の差が偶然かどうかを確率で判定。

レコメンデーション:「この商品を買う確率」を予測。

エラー発生率:システム障害の確率を見積もる。

AI/MLでの応用

分類確率:Softmax出力は各クラスの確率。

確率的モデル:ベイズ推論、生成モデル。

サンプリング:確率分布からデータを生成。

ドロップアウト:確率的にニューロンを無効化。

深掘りリンク

  • Wikipedia: 確率
  • 書籍:「確率論入門」伊藤清
  • 動画:3Blue1Brown「確率」シリーズ
  • 次のステップ:確率分布、期待値