固有値 固有ベクトル 固有値分解 PCA スペクトル
固有値・固有ベクトルとは
固有値・固有ベクトル
行列 A に対して、以下を満たすスカラー λ とベクトル v:
Av = λv
v: 固有ベクトル(eigenvector)... 方向が変わらないベクトル
λ: 固有値(eigenvalue)... その方向での伸縮率
固有ベクトルは行列が「自然に作用する」方向を示す。固有値はその強さを示す。
幾何学的解釈
| 固有値 λ | 意味 |
|---|---|
| λ > 1 | その方向に拡大 |
| 0 < λ < 1 | その方向に縮小 |
| λ = 1 | その方向は不変 |
| λ < 0 | 方向が反転 |
| λ = 0 | その方向に潰れる(次元が下がる) |
固有値分解
固有値分解(Eigendecomposition)
n×n の正方行列 A を以下のように分解:
A = VΛV⁻¹
V: 固有ベクトルを列に並べた行列
Λ: 固有値を対角に並べた対角行列
条件:n個の線形独立な固有ベクトルが必要
特異値分解(SVD)
固有値分解は正方行列のみに適用可能。任意の行列には特異値分解(SVD)を使う。
特異値分解(Singular Value Decomposition)
任意の m×n 行列 A を分解:
A = UΣVᵀ
U, V: 直交行列(左右特異ベクトル)
Σ: 対角行列(特異値)
実務での応用
WEB開発での応用
画像圧縮:SVDで低ランク近似。重要な成分だけ残す。
レコメンデーション:行列分解(Matrix Factorization)で協調フィルタリング。
PageRank:隣接行列の最大固有値に対応する固有ベクトルがページの重要度。
AI/MLでの応用
PCA(主成分分析):共分散行列の固有ベクトルが主成分の方向。次元削減。
白色化:データを無相関化する前処理。固有値分解を使用。
スペクトラルクラスタリング:グラフラプラシアンの固有ベクトルでクラスタリング。
安定性解析:勾配爆発/消失は重み行列の固有値に関係。
深掘りリンク
- Wikipedia: 固有値
- Wikipedia: 特異値分解
- 動画:3Blue1Brown「固有ベクトルと固有値」
- 次のステップ:行列式、行列の階数