1.3 権利の内容

Content of Copyright

著作権の構成

著作権は大きく「著作者人格権」と「著作財産権」の2つに分類される。著作者人格権は著作者の人格的利益を保護し、著作財産権は経済的利益を保護する。

区分 特徴 譲渡
著作者人格権 著作者の人格的利益を保護 不可(一身専属)
著作財産権 経済的利益を保護 可能

著作者人格権

著作者人格権は著作者に専属し、譲渡や相続ができない。主に以下の3つの権利から構成される。

公表権(第18条)

未公表の著作物を公表するかどうか、いつ、どのような方法で公表するかを決定する権利。

氏名表示権(第19条)

著作物に著作者名を表示するか、表示する場合は実名かペンネームかを決定する権利。

同一性保持権(第20条)

著作物の内容や題号を、著作者の意に反して改変されない権利。

契約での取り扱い 著作者人格権は譲渡できないため、契約では「著作者人格権を行使しない」という不行使特約を結ぶことが一般的である。

著作財産権

著作財産権は複数の支分権から構成され、それぞれ独立して譲渡・許諾が可能である。IT分野で特に重要な権利を解説する。

複製権(第21条)

著作物を有形的に再製する権利。プログラムのコピー、ダウンロード、プリントアウトなどが該当する。

公衆送信権(第23条)

著作物を公衆に送信する権利。Webサイトへのアップロード、ストリーミング配信などが該当する。「送信可能化権」(サーバーへのアップロード)も含まれる。

翻案権(第27条)

著作物を翻訳、編曲、変形、翻案する権利。プログラムの改変、リファクタリング、別言語への移植なども翻案に該当しうる。

譲渡権(第26条の2)

著作物の原作品または複製物を公衆に譲渡する権利。ソフトウェアの販売・頒布に関係する。

権利 IT分野での具体例
複製権 コードのコピー、バックアップ作成
公衆送信権 Webサイト公開、API配信
翻案権 プログラム改変、フォーク作成
譲渡権 ソフトウェア販売、配布

権利の制限(著作権の例外)

著作権には一定の制限があり、権利者の許諾なく利用できる場合がある。IT分野で関係する主な制限規定を紹介する。

私的使用のための複製(第30条)

個人的または家庭内での使用を目的とする場合、著作物を複製できる。ただし、業務目的は含まれない。

引用(第32条)

公表された著作物は、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内であれば引用できる。詳細は第3章で解説する。

プログラムの複製物の所有者による複製等(第47条の3)

プログラムの複製物の所有者は、自ら使用するために必要な限度で複製・翻案できる。バックアップ作成やバグ修正が該当する。

参考文献
[1] 著作権法 第17条〜第28条、第30条〜第47条の3
[2] 文化庁「著作者の権利」