1. 公式推奨の活用シーン

1.1 Anthropic社内テストで効果が確認されたタスク

Anthropic社は公式ブログにおいて、社内テストで効果が確認されたタスクを公開している。これらは同社の従業員が実際に業務で使用し、有効性が検証されたものである。

1.2 公式が推奨する利用開始のアプローチ

Anthropic社は、Claude in Chromeの利用を開始する際のアプローチとして、以下の3点を推奨している。

2. 具体的な活用事例の詳細

2.1 Google Driveの自動整理

Google Driveのファイル整理は、Claude in Chromeの最も効果的な活用事例の一つである。「私のGoogle Driveを整理して、関連ドキュメントをフォルダにまとめてください」と指示するだけで、Claudeがドライブをスキャンし、フォルダ構造を作成、ファイルを適切な場所に移動する。

海外のテクノロジーメディアTechRadarのレビューでは、約900件の散らばった文書やスプレッドシートを6つのメインフォルダと複数のサブフォルダに自動整理した事例が報告されている。約50件の重複ファイルも検出・整理され、不明なファイルは別途ユーザー確認用に分類されたという。

重要な点として、Claudeは勝手に変更を加えない。変更案を提示し、ユーザーが「承認」してから実行する設計となっている。

2.2 カレンダー管理と会議調整

「来週の月曜日に○○さんとのミーティングを設定して」と自然言語で指示すると、Claudeがカレンダーの空き時間をスキャンし、適切な時間帯を提案する。さらに、ゲストへのメール下書きも作成する。会議室の予約が不足している場合は自動予約も提案される。

定期的なカレンダーチェックも可能である。毎晩、Claudeにカレンダーをチェックさせ、翌日の予定と必要な準備をまとめさせることで、朝の準備時間を短縮できる。

2.3 メール整理とプロモーション削除

メール整理では「受信トレイのプロモーションメールを特定して、削除候補としてリストアップして」と指示する。Claudeがマーケティングメール、ニュースレター、自動通知を識別し、一括削除前にリストとして提示する。

2.4 データ抽出と商品比較

「この商品一覧ページから、商品名・価格・在庫状況を抽出してCSVで保存して」と指示すると、Claudeがページにナビゲートし、コンテンツを読み取り、構造化データに変換してファイル保存する。

複数の商品ページをタブで開き、「これらの商品を比較表にまとめてGoogle Sheetsに作成して」と指示すれば、スペックを読み取り、データを正規化して比較表を自動作成する。タブ切り替えなしで意思決定に集中できる点が大きなメリットである。

2.5 CRM記録のビジネス活用

営業担当者向けの活用例として、CRM（顧客管理システム）への記録自動化がある。「今日のカレンダーの会議出席者をSalesforceで検索し、各通話のアクティビティログを下書きして」と指示すると、Claudeがカレンダーを読み取り、出席者をSalesforceのコンタクトと照合し、アクティビティログを下書き作成する。

CSVからCRMへの自動入力も可能である。顧客連絡先のスプレッドシートを渡して「各行に対してCRMでコンタクトを追加して」と指示するだけで、データ入力作業を自動化できる。

2.6 ワークフロー記録による定型作業の自動化

ワークフロー記録機能は、Claude in Chromeの中でも特に強力な機能である。ユーザーの操作を録画してClaudeに学習させることで、繰り返しタスクを自動化できる。

3. 効果的な使い方のコツ

3.1 日本語ユーザーからの実体験報告

日本語ユーザーからの実体験報告も蓄積されつつある。noteの記事では「まずプランを立ててくれる。どのサイトから情報を取得するか、どのようにまとめるかを提示。内容を確認してから承認できる」という使用感が報告されている。

一方で、note記事の作成を試みた際に「タイトルと本文のフォーカス区別で失敗するケースあり」という課題も報告されている。複雑なUI操作では精度に課題が残ることがわかる。

3.2 効果的なプロンプトの書き方

Claude in Chromeを効果的に活用するには、プロンプト（指示文）の書き方が重要である。曖昧な指示よりも、具体的で詳細な指示の方が成功率が高い。

また、/スラッシュコマンド機能を活用することで、よく使うプロンプトを保存して再利用できる。例えば、/inbox-cleanupでメール整理、/weekly-reportで週次レポート作成といった形で、定型作業をワンコマンドで実行可能となる。

3.3 モデル選択の指針

Claude in Chromeでは、タスクの性質に応じてモデルを選択できる。

Claude in Chromeはベータ版であり、すべてのサイトで完璧に動作するわけではない。しかし、適切なタスク選択と具体的なプロンプトにより、業務効率化の強力なツールとなり得る。次回の記事では、セキュリティとリスク管理について詳しく考察する。