Claude Code実践考察|ターミナル型AIツールの導入から問題点まで

Claude Code実践考察|ターミナル型AIツールの導入から問題点まで

更新日:2025年11月23日

AnthropicのClaude Codeは、ターミナルから直接AIを利用できる開発支援ツールとして注目されています。ローカルファイルの直接編集、Git統合、プロジェクト全体の理解といった機能により、従来のチャット型AIとは一線を画します。しかし実際に導入してみると、日本語環境での課題やブラウザ版との使い分けなど、考慮すべき点も多くありました。個人的な実装経験から、Claude Codeの導入方法、実用性、そして直面した問題点について調査・考察してみました。

Claude Codeの概要とインストール方法

Claude Codeは、Anthropicが提供するコマンドライン開発アシスタントです。従来のClaude.aiブラウザ版とは異なり、ターミナル上で動作し、ローカルファイルシステムに直接アクセスしてファイルの作成・編集・削除を実行できます。

Claude Codeの特徴

最大の特徴は、実際のファイルシステムを操作できる点です。単にコードを生成して表示するだけでなく、プロジェクトディレクトリ内のファイルを直接操作し、Git操作まで自動化できます。

Claude Codeの主要機能
・ファイルの作成・編集・削除をターミナルから直接実行
・プロジェクト全体のコンテキストを理解した開発支援
・Git操作(add、commit、push)の自動実行
・CLAUDE.mdファイルによるプロジェクト固有ルールの定義
・カスタムスラッシュコマンドによるワークフロー標準化

Windows環境でのインストール手順

Windows環境では、WSL(Windows Subsystem for Linux)を利用したインストールが推奨されます。PowerShell経由での直接インストールも可能ですが、安定性を考慮するとWSL経由が確実です。

インストール手順の流れ
1. WSLの起動:PowerShellで「wsl」コマンドを実行
2. Node.js確認:「node --version」でバージョン確認
3. Node.js導入:未インストールの場合はnvm経由で導入
4. Claude Code導入:「npm install -g claude-code」を実行
5. 起動確認:プロジェクトフォルダで「claude」コマンド実行

Node.jsが未インストールの場合、nvm(Node Version Manager)を使用した導入が推奨されます。これにより、プロジェクトごとに異なるNode.jsバージョンを管理できます。

初回起動と認証

初回起動時は、ブラウザでの認証が必要です。Claude ProまたはClaude APIの利用権限が必要で、認証完了後はターミナルから直接利用可能になります。WSLからWindowsのファイルシステムへは「/mnt/c/」経由でアクセスできるため、通常のWindowsフォルダで作業可能です。

基本操作とスラッシュコマンド活用法

Claude Codeの操作は、通常のテキスト入力とスラッシュコマンドの組み合わせで行います。セッション開始後、「/」で始まる各種コマンドにより、コンテキスト管理やモデル切り替えなどの操作が可能です。

よく使うスラッシュコマンド

コマンド 機能 使用タイミング
/init CLAUDE.mdファイルを生成 プロジェクト開始時(初回のみ)
/clear コンテキストをリセット タスク変更時、メモリ節約時
/compact 会話を要約してトークン節約 長時間作業の途中
/model 利用モデルを選択 精度・速度の調整時
/cost トークン使用量を表示 コスト管理確認時

カスタムコマンドの作成と活用

頻繁に使用する指示は、カスタムコマンドとして定義できます。「.claude/commands」ディレクトリ内にマークダウンファイルを作成することで、独自のスラッシュコマンドを定義可能です。

カスタムコマンド作成例

  • ディレクトリ作成:mkdir -p .claude/commands
  • コマンド定義:echo "改善点を3つ教えて" > .claude/commands/improve.md
  • 使用方法:セッション内で「/project:improve」と入力

CLAUDE.mdファイルの重要性

CLAUDE.mdファイルは、プロジェクト固有の規約や情報を記述する重要なファイルです。コーディング規約、よく使うボイラープレート、アーキテクチャの説明などを記述しておくと、Claude Codeが自動的に読み込んで従います。これにより、プロジェクトの文脈を理解した上での支援が可能になります。

CLAUDE.mdに記載すべき内容
・プロジェクトの概要と目的
・技術スタックとバージョン情報
・コーディング規約(命名規則、インデント等)
・ディレクトリ構造の説明
・頻繁に使用するコマンドやスクリプト

権限管理とモード切り替え

Claude Codeには3つの動作モードがあり、Shift + Tabで切り替え可能です。デフォルトモードでは読み込み系の操作のみ自動許可され、ファイル変更時は都度確認が求められます。auto-accept editsモードでは、ファイルの作成・変更も自動許可されるため、信頼できる操作の場合は効率的です。

実使用での問題点とブラウザ版との比較

実際にClaude Codeを使用してみると、いくつかの問題点が明らかになりました。特に日本語環境での使用には課題があり、用途によってはブラウザ版のClaude.aiの方が適している場合もあります。

日本語入力の不安定性

WSL環境では、日本語入力時に表示位置がずれる問題が頻発します。変換候補が予期しない場所に表示されたり、入力中の文字が正しく表示されないことがあります。この問題は環境依存が大きく、根本的な解決は困難です。

日本語入力問題の症状
・変換候補ウィンドウが別の場所に表示される
・入力中の文字がリアルタイムで表示されない
・カーソル位置と実際の入力位置がずれる
・IMEの切り替えが正しく認識されない

これらの問題により、日本語での指示入力が困難になる場合があります。英語での使用が最も安定しており、複雑な日本語の指示が必要な場合は、事前に英語で準備するか、カスタムコマンドとして定義しておく方法が有効です。

Claude.aiブラウザ版との比較

用途によっては、従来のClaude.aiブラウザ版の方が適している場合があります。両者の特徴を理解した上で、適切に使い分けることが重要です。

比較項目 Claude Code Claude.ai(ブラウザ版)
動作環境 ターミナル(WSL/Mac/Linux) Webブラウザ
日本語対応 不安定(環境依存) 完璧に動作
ファイル操作 直接編集・保存可能 コピー&ペースト必要
画像処理 非対応 対応
大規模開発 効率的 手動作業が多い
UI/UX CUIベース グラフィカル

実践的な使い分けの指針

個人的な経験から、以下のような使い分けが効果的です。

Claude Codeが適している場面

  • 大規模プロジェクトの自動構築:複数ファイルの一括生成が必要な場合
  • 既存コードの大規模リファクタリング:プロジェクト全体の一貫した変更
  • Git操作の自動化:コミットメッセージの生成やブランチ管理
  • 英語ベースの開発:ドキュメントやコメントが英語中心の場合

Claude.aiブラウザ版が適している場面

  • 日本語での詳細な指示が必要:複雑な要件定義や仕様説明
  • 記事やドキュメント作成:ブログ記事やマニュアル執筆
  • 画像を含む作業:デザインカンプからのコード生成
  • 単発のコード生成:小規模な関数やスクリプトの作成

結論として、Claude Codeは英語に慣れた開発者向けの強力なツールですが、日本語環境での使用には制限があります。PHP、HTML、記事作成などの作業では、ブラウザ版のClaude.aiで十分な場合が多く、無理にClaude Codeを使う必要はありません。プロジェクトの性質と個人の開発スタイルに応じて、適切なツールを選択することが重要です。

参考・免責事項
本記事は2025年11月23日時点の情報に基づいて作成されています。個人差があるため、効果を保証するものではありません。記事内容は個人的な考察に基づくものであり、専門的な判断については関連分野の専門家にご相談ください。重要な決定については、複数の情報源を参考にし、自己責任で行ってください。