Claude in Chrome入門考察|AIがブラウザを操作する時代の到来

Claude in Chrome入門考察|AIがブラウザを操作する時代の到来

更新日:2024年12月22日

Anthropic社が提供するChrome拡張機能「Claude in Chrome」について調査・考察してみました。2025年12月18日より全有料プランで利用可能となったこの機能は、AIがブラウザ上でクリックやフォーム入力を実行する「AIエージェント」です。本記事では基本情報からインストール方法、他ツールとの連携まで解説します。参考になれば幸いです。
Claude in Chrome入門考察|AIがブラウザを操作する時代の到来

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1. Claude in Chromeとは何か

1.1 概要と位置づけ

Claude in Chromeは、Anthropic社が開発したGoogle Chrome専用のブラウザ拡張機能である。従来のAIアシスタントがテキストベースの対話に限定されていたのに対し、本機能はAIが実際にウェブページを「見て」「操作する」ことを可能にした点で画期的といえる。

具体的には、Claudeがウェブページ上のボタンをクリックしたり、フォームに文字を入力したり、複数のタブを行き来しながら情報を収集したりできる。これは「AIエージェント」と呼ばれる技術カテゴリに属し、ユーザーの代わりにブラウザ操作を自動化するものである。

AIエージェントとは
従来のAIが「質問に答える」受動的な存在だったのに対し、AIエージェントは「タスクを実行する」能動的な存在である。ユーザーが「メールを整理して」と指示すれば、AIが実際にメールアプリを操作して整理作業を行う。

1.2 提供状況と経緯

Claude in Chromeは段階的に展開されてきた。2025年8月25日にリサーチプレビューとして開始され、当初はMaxプランの1,000名限定であった。その後、9月に10,000名、11月24日に全Maxプランユーザーへと拡大し、2025年12月18日より全有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で利用可能となった。

Claude in Chrome 展開経緯
2025年8月25日:リサーチプレビュー開始(Maxプラン1,000名限定)
2025年9月:Maxプラン10,000名に拡大
2025年11月24日:全Maxプランユーザーに拡大
2025年12月18日:Pro、Team、Enterpriseプランに拡大(現在)

現時点でもベータ版という位置づけであり、Anthropic社は継続的に機能改善とセキュリティ強化を行っている。

2. 利用条件と機能の詳細

2.1 対応プランと料金

Claude in Chromeは無料プランでは利用できない。公式ドキュメントには「Available in beta to all paid plan subscribers」と明記されている。

Table 1: Claude in Chrome 対応プラン一覧
プラン 月額料金 利用可否
Free 無料 利用不可
Pro $20 利用可能
Max $100〜200 利用可能
Team $30/ユーザー 利用可能
Enterprise 要問合せ 利用可能

注意点として、ブラウザ操作は通常のチャットより計算リソースを多く消費するため、利用上限を早く消費する傾向がある。

2.2 対応ブラウザ

対応ブラウザはGoogle Chromeのみである。公式サポートページでは「Claude in Chrome is not supported on other Chromium-based web browsers or mobile devices」と明記されており、Edge、Brave、Firefox、Safariなどは非対応となっている。一部のニュース記事でChromiumベースブラウザでの動作が報告されているが、公式サポート対象外である点に留意が必要である。

2.3 主要機能

Claude in Chromeは、Chrome Debugging APIを使用してウェブページと対話する。主要な機能を以下に整理する。

Table 2: Claude in Chrome 主要機能一覧
機能カテゴリ 詳細
ナビゲート ウェブページの閲覧、リンクの追跡。Slack、Google Calendar、Gmail、Google Docs、GitHubなどの主要プラットフォームに対する組み込み知識あり
クリック・入力 ボタンのクリック、テキスト入力、ドロップダウン選択、チェックボックス操作、画像のアップロード
マルチタブ管理 複数タブの同時操作、タブグループへのドラッグ、バックグラウンドでの作業継続
スケジュールタスク 日次、週次、月次、年次で定期タスクを自動実行
ワークフロー記録 ユーザー操作を録画してClaudeに学習させ、繰り返しタスクを自動化
ショートカット よく使うプロンプトを/スラッシュコマンドとして保存・再利用
モデル選択 Haiku 4.5(高速)、Sonnet 4.5(バランス)、Opus 4.5(最高推論能力)から選択可能
ワークフロー記録機能について
この機能は特に強力である。例えば「毎週月曜日に競合サイトの価格をチェックしてスプレッドシートに記録する」といった定型作業を、一度手動で実行してClaudeに記録させれば、以降は自動実行される。

3. 導入手順と連携設定

3.1 インストール手順

Claude in Chromeのインストールは以下の手順で行う。

インストール手順
Step 1:Google Chromeで Chrome Web Store を開く
Step 2:「Claude」を検索し、Anthropic公式の拡張機能を選択
Step 3:「Add to Chrome」をクリック
Step 4:Claudeアカウント(有料プラン)でサインイン
Step 5:ブラウザ右上のパズルピースアイコンからClaudeをピン留め

インストール完了後、ブラウザのツールバーにClaudeアイコンが表示される。クリックすると拡張機能のパネルが開き、そこからClaudeに指示を出すことができる。

3.2 Claude Desktopとの連携

Claude in Chromeは、デスクトップアプリケーション「Claude Desktop」と連携させることができる。これにより、デスクトップアプリからブラウザ操作を指示することが可能になる。

Claude Desktop連携手順
Step 1:Claude Desktopで左下のイニシャルをクリック→「Settings」
Step 2:「Connectors」に移動
Step 3:「Claude in Chrome」を見つけて「Configure」をクリック
Step 4:コネクタをオンに切り替え

設定完了後、チャットの「Connectors」ドロップダウンからClaude in Chromeを有効化できる。対応モデルはHaiku 4.5、Sonnet 4.5、Opus 4.5のみである。

3.3 Claude Codeとの連携

開発者向けには、コマンドラインツール「Claude Code」との連携も用意されている。これにより、ビルド-テスト-検証のワークフローを実現できる。

具体的には、Claude Codeでターミナル内でコードをビルドし、Chrome拡張機能でブラウザ内でテスト・検証するという流れである。コンソールログを使用したライブデバッグ、Figmaモックと実装の比較、Webアプリの自動テストなどが可能となる。

導入時のポイント

  • 別プロファイルの作成:銀行・医療・政府関連アカウントにアクセスしないChromeプロファイルを作成することが推奨される
  • Ask before actingモード:Claudeが計画を作成し、ユーザーの承認を待つ設定を有効にしておくと安全である
  • シンプルなタスクから開始:調査やフォーム入力など簡単な作業から始め、徐々に複雑なワークフローへ移行することが望ましい

Claude in Chromeはベータ版であり、すべてのサイトで完璧に動作するわけではない。しかし、日常業務の効率化には十分な可能性を秘めている。次回の記事では、具体的な活用事例(Google Drive整理、カレンダー管理、データ抽出など)について詳しく考察する。

参考・免責事項
本記事は2024年12月22日時点の情報に基づいています。Claude in Chromeはベータ版であり、機能や仕様は変更される可能性があります。最新情報はAnthropic公式サイトをご確認ください。

[1] Anthropic, "Piloting Claude in Chrome," https://www.anthropic.com/news/claude-for-chrome
[2] Claude Help Center, "Getting Started with Claude in Chrome," https://support.claude.com/en/articles/12012173-getting-started-with-claude-in-chrome
[3] Claude Code Docs, "Use Claude Code with Chrome (beta)," https://code.claude.com/docs/en/chrome