Claude Code vs デスクトップMCP比較考察|開発に向いているのはどちら?

Claude Code vs デスクトップMCP比較考察|開発に向いているのはどちら?

更新日:2025年5月30日

Anthropicが提供する開発支援ツール「Claude Code」が話題になっています。ターミナルから直接Claudeを呼び出して開発作業を任せられるという触れ込みですが、デスクトップ版Claude+MCP(Model Context Protocol)構成と何が違うのでしょうか。実際に両方を検討してみて、個人開発者の視点から比較考察してみました。同じように「どちらを使えばいいのか」と迷っている方の参考になれば幸いです。
Claude Code vs デスクトップMCP比較考察|開発に向いているのはどちら?

Claude CodeとデスクトップMCPの基本

まず、それぞれの仕組みを整理します。両者は「Claudeを開発に活用する」という点では同じですが、アーキテクチャが根本的に異なります。

デスクトップMCPとは

デスクトップ版Claude(claude.ai)に、MCP(Model Context Protocol)サーバーを接続する構成です。MCPはClaudeがローカルファイルシステムや外部サービスにアクセスするための「接続口」として機能します。ユーザーはチャット画面で会話しながら、ファイルの読み書きや編集を依頼できます。

MCPの役割
MCPはClaudeの「手足」を増やすプロトコルです。ファイルシステム、データベース、APIなど様々なリソースへのアクセスを可能にします。デスクトップ版Claudeの設定画面から有効化できます。

Claude Codeとは

Claude Codeは、ターミナル(コマンドライン)から直接Claudeを呼び出すCLIツールです。「claude "タスクの説明"」のようにコマンドを打つと、Claudeが自律的にファイルを探索・編集・実行します。GUIを介さず、ターミナル上で完結する設計になっています。

動作の仕組みの違い

デスクトップMCPは「ユーザー → チャット画面 → MCPサーバー → ローカルファイル」という流れで、Opus 4.5が動作します。一方、Claude Codeは「ユーザー → ターミナル → Claude Code CLI → APIサーバー」という流れで、Sonnet 4が標準で動作します。

詳細比較:入力・自律性・モデル

実際の使用感に大きく影響する3つの観点から比較します。

入力方法の違い

開発作業では「この画面がおかしい」とスクリーンショットを見せたり、エラーログを貼り付けたりする場面が頻繁にあります。入力手段の豊富さは作業効率に直結します。

入力種別 デスクトップMCP Claude Code
テキスト
画像貼り付け ×
スクリーンショット ×
PDF △(パス指定のみ)
ドラッグ&ドロップ ×
音声入力 ×

デスクトップMCPは視覚的な情報を直接共有できる点で圧倒的に有利です。「この表示を直して」と画面を見せるだけで意図が伝わります。

自律性の違い

Claude Codeの売りは「自律的なタスク実行」ですが、実際にはどの程度違うのでしょうか。

デスクトップMCPの作業フロー

  • 1回の指示:1回の応答が返る
  • 確認ステップ:各段階でユーザーが確認
  • 調整が容易:途中で方向修正しやすい

Claude Codeの作業フロー

  • 1回の指示:複数ステップを自動実行
  • 確認ステップ:完了後にまとめて報告
  • リスク:意図と違う実装になる可能性

自律性が高いことは必ずしもメリットではありません。途中経過が見えにくく、意図と異なる方向に進んでしまうリスクがあります。

使用モデルの違い

見落としがちですが、動作するモデルが異なります。

項目 デスクトップMCP Claude Code
標準モデル Opus 4.5 Sonnet 4
推論能力 最高 高い
複雑な判断 得意 やや劣る
応答速度 遅め 速い

Opus 4.5はAnthropicの最上位モデルであり、複雑な設計判断や文脈理解においてSonnet 4を上回ります。「本格的な開発作業」を謳うClaude Codeが下位モデルを使用している点は、やや矛盾を感じます。

実際の開発シーンでの使い分け

理論的な比較だけでなく、具体的な開発シーンでどちらが適しているかを考察します。

バグ修正の場合

デスクトップMCPでは、スクリーンショットを貼って「この表示がおかしい」と伝えるだけで、Claudeが原因を推測し、関連ファイルを確認し、修正案を提示します。ユーザーは各ステップで確認・調整できます。Claude Codeでは「このバグを直して」と指示すると自動で修正されますが、途中経過が見えにくく、想定外の変更が入るリスクがあります。

新機能追加の場合

新機能追加では、設計段階での相談が重要です。デスクトップMCPなら「こういう機能を追加したい」と説明し、設計を相談しながら段階的に実装できます。Claude Codeでは一気に実装されるため、意図と異なる設計になった場合の手戻りが大きくなります。

Claude Codeが向いているケース

Claude Codeが有効なのは、以下のような限定的な場面です。

Claude Codeの適用場面

  • リモートサーバー作業:SSHでGUIなし環境にアクセスするとき
  • CI/CDパイプライン:自動テスト・自動レビューに組み込むとき
  • 定型作業の自動化:決まったパターンの作業を繰り返すとき
  • コスト重視:Sonnet 4のほうがAPI料金が安い
CI/CDパイプラインとは
コードをGitにプッシュすると自動でテスト・ビルド・デプロイが実行される仕組みです。GitHub ActionsやJenkinsが代表的なツールです。企業のチーム開発向けの機能であり、個人開発では使う機会が少ないでしょう。

結論:個人開発にはデスクトップMCPが適している

比較検討の結果、個人開発や小規模プロジェクトにはデスクトップMCP構成のほうが適していると考えます。理由は以下の通りです。

第一に、入力手段の豊富さです。画像やスクリーンショットを直接貼れることで、意思疎通の効率が格段に上がります。第二に、最上位モデル(Opus 4.5)が使えることです。複雑な判断や設計相談において、モデルの性能差は無視できません。第三に、段階的な確認ができることです。自律性が高すぎると、意図と異なる方向に進んでしまうリスクがあります。

「本格的な開発作業」という公式の説明は、やや誇張されている印象があります。Claude Codeは特定の用途(リモートサーバー作業、CI/CD連携)には有効ですが、日常的な開発作業ではデスクトップMCPのほうが使いやすいというのが、個人的な結論です。

参考・免責事項
本記事は2025年5月30日時点の情報に基づいて作成されています。Claude CodeおよびMCPの機能は今後のアップデートで変更される可能性があります。記事内容は個人的な考察に基づくものであり、公式見解ではありません。ツール選択については、ご自身の開発環境や用途に応じてご判断ください。