新型コロナウイルス2025年調査|発生から5年の変遷と現在の流行状況

新型コロナウイルス2025年調査|発生から5年の変遷と現在の流行状況

更新日:2025年11月26日

2019年末に中国・武漢市で発生が確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、発生から約5年が経過しました。2023年5月に感染症法上の分類が5類に移行し、社会的な対応は大きく変化しましたが、ウイルス自体は変異を続けており、2025年も流行が続いています。今回は、発生当初から現在までの変遷を振り返りながら、2025年の流行状況や症状の特徴について個人的に調査してみました。同じように現状を把握したい方の参考になれば幸いです。

新型コロナウイルスの歴史と変遷(2020年〜2025年)

新型コロナウイルス感染症は、2019年12月に中国・武漢市で最初の発生が確認されました。その後、瞬く間に世界中に広がり、パンデミック(世界的大流行)を引き起こしました。日本では2020年1月に初めての感染者が確認され、当初は感染力や重症化リスクが不明だったことから「指定感染症」に指定されました。

変異株の変遷

新型コロナウイルスは発生以来、さまざまな変異株が出現しました。それぞれの変異株は感染力や症状の特徴が異なり、流行のたびに対策の見直しが求められてきました。

主な変異株の出現時期
2020年:従来株(武漢株)が世界中に拡散
2020年末〜2021年:アルファ株(イギリス由来)が流行
2021年:デルタ株(インド由来)が主流に、重症患者急増
2021年11月:オミクロン株(南アフリカ由来)が出現
2022年以降:オミクロン株の亜系統が次々と出現
2025年:NB.1.8.1(ニンバス)等の派生株が流行

感染症法上の分類変更

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけが「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」から「5類感染症」に変更されました。これは季節性インフルエンザと同等の扱いとなることを意味します。この変更の背景には、オミクロン株が主流になって以降、発生初期と比較して重症度が低下したこと、ワクチンの普及、治療薬の開発が進んだことなどがあります。

項目 5類移行前(2類相当) 5類移行後
外出自粛 法律に基づき要請 個人の判断
受診可能な医療機関 発熱外来など限定 幅広い医療機関
医療費 公費負担 保険適用(1〜3割自己負担)
感染対策 政府が一律に要請 個人・事業者の判断
5類移行後も変わらないこと
感染症法上の分類が変わっても、ウイルスの性質そのものが変わったわけではありません。感染すれば肺炎や後遺症が出現するリスクは依然として存在します。特に高齢者や基礎疾患のある方は重症化リスクが高いため、引き続き注意が必要です。

2025年の流行状況と症状の特徴

2025年11月現在、日本では新型コロナウイルスの感染者数が依然として高い水準で推移しています。流行の中心となっているのはオミクロン株から派生した変異株で、特にNB.1.8.1(通称「ニンバス」)やその子孫株が多く検出されています。

2025年の主な流行株

NB.1.8.1(ニンバス)は2025年1月に初めて検出され、夏以降に流行の中心となりました。世界保健機関(WHO)は「監視下の変異株(VUM)」に指定しています。感染力は従来のオミクロン株より高いとされていますが、重症化リスクが特段高いという報告は現時点ではありません。

症状の特徴

2025年の新型コロナ感染症では、特に強い喉の痛みが目立つ症状として報告されています。欧米では「カミソリ刃の喉(razor blade throat)」と呼ばれ、カミソリを飲み込んだような、あるいはガラスの破片が喉に刺さっているような強烈な痛みと表現されています。

症状 2025年の特徴 発生頻度
喉の痛み 非常に強い痛みが特徴 最も多い
発熱 37〜40℃程度 多い
咳・痰 乾いた咳から痰を伴う咳へ 多い
倦怠感 強い疲労感 多い
頭痛・筋肉痛 全身症状として出現 中程度
味覚・嗅覚障害 初期の変異株より大幅に減少

デルタ株とオミクロン株の違い

2021年に流行したデルタ株と、2022年以降主流となっているオミクロン株では、症状や重症化リスクに大きな違いがあります。デルタ株は中高年層にも肺炎や血栓症を起こし、重症患者の急増による医療体制のひっ迫が課題となりました。一方、オミクロン株以降は感染力が強い一方で、肺への影響は比較的軽く、上気道(喉や鼻)の症状が中心となっています。

潜伏期間の変化
新型コロナの潜伏期間は変異株によって異なります。従来株やアルファ株では平均5日程度でしたが、オミクロン株以降は2〜4日程度に短縮しています。症状は5〜7日程度続くことが多く、咳や倦怠感は1〜2週間続く場合もあります。

後遺症について

新型コロナウイルス感染症の後遺症(いわゆる「ロングCOVID」)は、感染者の約10〜20%に発生するとされています。最も多い訴えは倦怠感(だるさ)で、呼吸困難感、筋力低下、集中力低下がそれに続きます。ワクチン接種により後遺症の発生頻度が約15%低下するという報告もあります。後遺症の症状は多岐にわたり、変異株による違いも明らかになっていないのが現状です。

予防・治療と今後の対策

5類に移行した後も、新型コロナウイルス感染症に対する予防と治療の重要性は変わりません。ワクチン接種と日常的な感染対策を組み合わせることが、感染予防と重症化防止の両面で有効です。

ワクチン接種

現在承認されているCOVID-19ワクチンには、重症化および死亡に対する予防効果があります。WHOの技術諮問グループは、JN.1やKP.2変異株を標的とする一価ワクチンが引き続き有効であると助言しています。特に重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患のある方は、定期的なワクチン接種が推奨されています。

治療薬について

新型コロナウイルス感染症には、3種類の経口抗ウイルス薬(飲み薬)があります。いずれも発症から早期(3〜5日以内)に服用することで効果を発揮します。2024年4月から公費支援は終了し、保険適用での自己負担となっています。

薬名 対象 投与期間 薬価(3割負担)
ゾコーバ 12歳以上(重症化リスク問わず) 5日間(1日1回) 約15,800円
ラゲブリオ 重症化リスクのある方 5日間(1日2回) 約28,000円
パキロビッド 重症化リスクのある方(優先) 5日間(1日2回) 約30,000円
治療薬の選択について
パキロビッドは最も効果の裏付けがあり、重症化リスクの高い方には優先的に使用されます。ただし、併用禁忌の薬が多いため、服用中の薬を必ず医師に伝えてください。ゾコーバは比較的安価で、重症化リスクに関わらず処方可能です。いずれも妊婦への投与は原則禁忌または慎重投与となっています。

日常的な感染対策

引き続き有効な予防策

  • 手洗い・手指消毒:外出後や食事前に石鹸で丁寧に洗う
  • 場面に応じたマスク着用:混雑した場所や医療機関では有効
  • 換気:室内では定期的に窓を開けて空気を入れ替える
  • 体調管理:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動
  • 体調不良時は外出を控える:症状がある場合は無理せず休養

感染した場合の対応

5類移行後は感染者への行動制限はなくなりましたが、発症後5日間かつ症状軽快後24時間は外出を控えることが推奨されています。症状がつらい場合や、高齢者・基礎疾患のある方は早めに医療機関を受診してください。喉の痛みが強い場合は水分補給を心がけ、必要に応じて解熱鎮痛剤を使用しましょう。

インフルエンザとの同時流行に注意

2025年11月現在、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方が流行しています。症状だけでは区別が難しいため、発熱や喉の痛みなどの症状がある場合は、両方の検査を受けることをお勧めします。多くの医療機関では15〜30分程度で結果がわかる同時検査が可能です。

参考・免責事項
本記事は2025年11月26日時点の情報に基づいて作成されています。個人差があるため、効果を保証するものではありません。記事内容は個人的な考察に基づくものであり、専門的な判断については医療機関にご相談ください。症状が気になる場合や判断に迷う場合は、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」、国立健康危機管理研究機構「SARS-CoV-2変異株について」、WHO「COVID-19 Weekly Epidemiological Update」