歯のウォーキングブリーチ研究2025|神経を抜いた歯を白くする治療法と歯医者選び

歯のウォーキングブリーチ研究2025|神経を抜いた歯を白くする治療法と歯医者選び

更新日:2025年10月13日

神経を抜いた歯が黒く変色してしまい、笑顔に自信が持てなくなった経験はありませんか。通常のホワイトニングでは改善できない失活歯の変色に対して、ウォーキングブリーチという治療法が注目されています。しかし、副作用のリスクや歯医者選びの重要性についてはあまり知られていません。個人的な関心から、この治療法の仕組みや安全性、適切な歯科医院の選び方について調査・考察してみましたので、同じように関心をお持ちの方の参考になれば幸いです。

ウォーキングブリーチの基本情報と仕組み

ウォーキングブリーチとは何か

ウォーキングブリーチは、神経を失った歯、いわゆる失活歯や無髄歯の変色を改善するための特殊なホワイトニング治療法です。インターナルブリーチやインターナルホワイトニングとも呼ばれており、歯の内部に漂白剤を入れて内側から白くしていく方法です。

通常のホワイトニングは歯の表面に薬剤を塗る方法ですが、神経を抜いた歯の変色は内部に原因があるため、表面からのホワイトニングでは効果がありません。そこで、歯の裏側に開けた穴から漂白剤を注入し、1〜2週間ごとに薬剤を交換しながら徐々に白くしていくのがウォーキングブリーチの特徴です。

名称の由来
ウォーキングブリーチという名称は、歯の内部に漂白剤を入れた状態で患者が日常生活を送る、つまり歩きながら(ウォーキング)歯を白くすることに由来しています。

なぜ神経のない歯は変色するのか

神経を抜いた歯が変色する主な原因は、歯の内部に残った血液成分や組織の変性物質が代謝されず蓄積することです。神経を取ると同時に血管も除去されるため、血液成分や古いコラーゲン様物質が歯の内部に沈着していきます。

具体的には、以下のような原因で変色が起こります。

歯髄や血液の分解によって色素が形成されることがあります。根管治療時に血液成分が根管内に入り込み、長期間にわたって変色することもあります。また、神経がないため栄養供給が停止し、象牙質が徐々に硬化して透明感が失われ、黄ばみや灰色がかった色合いになります。

神経のない歯は時間とともに褐色から黒色に変色していき、特に前歯では周囲の歯との色の違いが目立ちやすく、見た目の印象に大きな影響を与えます。

ウォーキングブリーチのメリット

ウォーキングブリーチには、他の治療法と比較して以下のようなメリットがあります。

歯を削らずに治療できるため、天然歯をできるだけ残したい方に適しています。歯の裏側に小さな穴を開けるだけで済み、セラミッククラウンのように歯を大きく削る必要がありません。

内側から漂白するため自然な仕上がりが期待でき、歯の表面にホワイトニング剤を作用させないため、通常のホワイトニングより効果が高いとされています。

比較的安価に治療できることも魅力です。セラミッククラウンなど他の審美治療と比べて、費用を抑えながら効果的な治療が可能です。

また、歯の変色が原因で歯茎まで黒ずんでいる場合、ウォーキングブリーチによって歯茎の色調も改善できる可能性があります。ただし、メタルコアが原因の場合は効果がありません。

治療法の比較と費用相場

主な治療法の比較

神経を抜いた歯の変色を改善する方法は、ウォーキングブリーチ以外にもいくつかあります。それぞれの特徴を理解して、自分に適した治療法を選ぶことが大切です。

治療法 特徴 費用目安
ウォーキングブリーチ 歯を削らず内部から漂白。2〜3回の通院で完了。 5,000〜20,000円/本
セラミッククラウン 歯を削って被せ物をする。確実に白くできるが歯質を失う。 50,000〜150,000円/本
ラミネートベニア 歯の表面にセラミックの薄片を貼る。削る量は少ない。 50,000〜120,000円/本
ダイレクトボンディング 樹脂で修復する方法。比較的安価だが耐久性は劣る。 30,000〜60,000円/本

ウォーキングブリーチの治療の流れ

ウォーキングブリーチの具体的な治療手順は以下の通りです。

治療ステップ1:診断と準備
レントゲン撮影や視診により、虫歯の有無や歯の根の状態を確認します。虫歯や根管治療が不十分な場合は、先にその治療を行います。
治療ステップ2:詰め物の除去
過去に根管治療を行った際の詰め物や充填物をマイクロスコープで確認しながら慎重に取り除きます。この時、できるだけ歯質を削らないように注意します。
治療ステップ3:根管口の封鎖
薬剤が根管内に漏れないように、セメントで根管口を数ミリ封鎖します。この処置は外部吸収という副作用を防ぐために非常に重要です。
治療ステップ4:漂白剤の注入
過酸化水素や過ホウ酸ナトリウムなどの漂白剤を歯の内部に注入し、樹脂で穴を封鎖します。
治療ステップ5:薬剤の交換
1〜2週間後に来院し、漂白状況をチェック。満足のいく白さになるまで、薬剤を2〜3回交換します。
治療ステップ6:最終的な修復
希望の白さが得られたら、内部の漂白剤を完全に取り除き、プラスチックの詰め物で穴を封鎖して治療完了です。

保険適用と費用について

ウォーキングブリーチは審美目的の治療とされるため、健康保険の適用外となります。かつては2006年まで保険適用されていましたが、現在はすべて自費診療です。

費用は歯科医院によって異なりますが、全国的な相場は1本あたり5,000円から20,000円程度です。薬剤の交換回数や最終的な修復治療の種類によっては、追加料金が発生することもあります。

費用に関する注意点
1本単位での治療となるため、複数の歯を治療する場合は本数分の費用がかかります。また、事前に根管治療が必要な場合は、その治療費も別途必要になります。

安全な歯医者の選び方

ウォーキングブリーチのリスクについて

ウォーキングブリーチには一定のリスクが伴うことを理解しておく必要があります。最も重要なリスクは外部吸収と呼ばれる副作用で、歯根や周囲の骨が溶けてしまう現象です。

外部吸収は、根管治療やシーリングが不十分だったり、歯の根の深くまでホワイトニングを行ったりすると、発生したフリーラジカルが歯根の象牙細管を通って骨に到達し、骨を溶かす破骨細胞が生成されることで起こります。発生率は1〜13%程度とされ、ウォーキングブリーチから数年後に起こることが多いとされています。

その他のリスクとして、治療中に歯の内圧が高まって痛みが出ることがあります。また、1年前後で色が後戻りする可能性もあり、定期的な検診が推奨されます。さらに、他の歯の色と完全に合わせるのは難しい場合があることも知っておくべきです。

かつて1980年代に流行した加熱式のインターナルブリーチは、外部吸収を起こすケースがあまりに多く廃れました。現在のウォーキングブリーチは改良されていますが、それでも適切な処置が必要です。

適切な歯科医院を選ぶ7つのポイント

ウォーキングブリーチを安全に受けるためには、歯科医院選びが非常に重要です。以下のポイントを確認しましょう。

歯科医院選びの重要ポイント

  • マイクロスコープの使用:根管口の封鎖を確実に行い、薬剤の漏洩を防ぐために必須の設備です。拡大視野で精密な治療が可能になります。
  • 豊富な施術実績:ウォーキングブリーチの施術数を確認しましょう。経験が豊富な歯科医院であれば、トラブル発生時の対処法も熟知しています。
  • ラバーダム防湿の実施:処置する歯だけを口の中から隔離し、唾液の混入や薬剤の漏出を防ぐ重要な処置です。
  • 痛みへの即座の対応:治療中に痛みが出た場合、すぐに中断して歯の中のバリアをやり直す体制があるか確認します。
  • 適切な薬剤濃度の管理:過酸化水素の濃度が高すぎるとリスクも高くなります。適切な濃度管理を行っているか確認しましょう。
  • 加熱処置を行わない:薬剤を活性化するために熱を加える方法は、歯根を溶かす可能性が高くなるため避けるべきです。
  • 根管治療の技術力:ウォーキングブリーチの前に適切な根管治療が行われているかが、成功の鍵となります。根管治療の専門性も重要です。

ウォーキングブリーチができないケース

すべての失活歯がウォーキングブリーチに適しているわけではありません。以下のようなケースでは治療ができない、または推奨されない場合があります。

歯質が脆い場合や歯質が薄い場合、根管治療を繰り返した歯に対しては、リスクが高いため提案できないことがあります。歯の表面がすり減っている場合も、歯の保護機能が低下しているため避けたほうがよいでしょう。

また、歯の神経が死んでいる場合や炎症や膿が溜まっているなど、再根管治療が必要な場合は、そちらの治療を優先します。歯の内部が綺麗になっていないと、ウォーキングブリーチの効果が発揮できません。

その他、フッ素過剰症がある場合は歯が黄ばんでしまうことがあり、妊娠中や授乳中の方、無カタラーゼ症の方も治療を行うことができません。メタルコア(金属の土台)が装着されている歯や、金属イオンによる変色の場合も、ウォーキングブリーチでは対応できません。

治療後のメンテナンスと長期的な展望

ウォーキングブリーチは一度完了しても、その後のケアが大切です。治療後に再び変色しないよう、定期的な歯科検診を受け、メンテナンスを続けることで白さを長持ちさせることができます。

研究によると、一般的には5年以上の効果が持続し、25年後も85%が色調を維持していたという報告もあります。ただし、色戻りは5年後で約25%、8年後には約半数に見られるとの報告もあり、個人差があります。色戻りが起きた場合は再処置も可能です。

食生活や喫煙などは変色の原因となるため、これらの改善が治療後の結果を左右します。また、定期的にレントゲンで外部吸収の有無を確認することも重要です。

セラミック治療との併用について
ウォーキングブリーチはセラミック治療前の下地作りとしても有効です。内部の歯の色を改善しておくことで、セラミックの仕上がりに良い影響を与えますので、無駄になることはありません。

神経のない歯の変色は、適切な治療法を選択することで改善が期待できます。ウォーキングブリーチは歯を削らずに済む選択肢として有効ですが、リスクも理解した上で、信頼できる歯科医院で治療を受けることが大切です。まずは複数の歯科医院でカウンセリングを受け、納得のいく説明を受けてから治療を決定することをお勧めします。

参考・免責事項
本記事は2025年10月13日時点の情報に基づいて作成されています。個人差があるため、効果を保証するものではありません。記事内容は個人的な考察に基づくものであり、専門的な判断については歯科医師など関連分野の専門家にご相談ください。ウォーキングブリーチには外部吸収などのリスクが伴う可能性があります。治療を検討される際は、必ず歯科医師による診断を受け、十分な説明を受けた上で、複数の情報源を参考にし、自己責任で判断してください。