1.3 責任共有モデル

Shared Responsibility Model

クラウドにおけるセキュリティは、プロバイダとユーザーの共同責任である。「クラウドのセキュリティ」と「クラウド内のセキュリティ」の境界を理解することが、適切なセキュリティ設計の第一歩となる。

責任分界の基本概念

責任共有モデルの基本

図1: 責任共有モデルの基本概念

AWSが提唱した責任共有モデル(Shared Responsibility Model)は、現在3大クラウドすべてで採用されている基本概念である。プロバイダは「クラウドのセキュリティ」(物理インフラ、ネットワーク基盤)を担い、ユーザーは「クラウド内のセキュリティ」(データ、アクセス制御、設定)を担う [1]。

サービスモデル別の責任範囲

サービスモデル別責任範囲

図2: サービスモデルによる責任範囲の変化

責任項目 IaaS PaaS SaaS
データ分類・暗号化 ユーザー ユーザー ユーザー
アクセス制御(IAM) ユーザー ユーザー 共有
OSパッチ適用 ユーザー プロバイダ プロバイダ
ネットワーク設定 ユーザー 共有 プロバイダ
物理セキュリティ プロバイダ プロバイダ プロバイダ

3大クラウドの表現比較

3大クラウドの責任共有表現

図3: 3大クラウドの責任共有モデル表現

各プロバイダは同様の概念を持つが、表現が若干異なる。GCPは「Shared Fate」という表現を用い、プロバイダがより積極的にユーザーのセキュリティ成功に関与する姿勢を示している [2]。

注意 責任共有モデルを誤解すると、セキュリティホールが生じる。「クラウドだから安全」ではなく、ユーザー側の設定ミス(S3バケットの公開設定、IAMの過剰権限等)がインシデントの主因となることが多い。
出典
[1] AWS. Shared Responsibility Model. https://aws.amazon.com/compliance/shared-responsibility-model/
[2] Google Cloud. Shared responsibilities and shared fate on Google Cloud.
発展学習
→ Azure: Shared responsibility in the cloud
→ CSA: Cloud Controls Matrix (CCM)