障がい者主動のAI開発システムが人工知能学会で優秀賞受賞

障がい者主動のAI開発システムが人工知能学会で優秀賞受賞

紹介日:2025年11月5日

株式会社クオルテックと住友電気工業株式会社の共同研究が、2025年度人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞しました。知的障がい者の方々が専門支援なしでAI開発に取り組めるシステムを実証した画期的な研究です。本記事では、プレスリリースの内容を図表を用いて分かりやすく紹介いたします。

受賞内容と研究概要

出典情報
記事タイトル:住友電工と共同研究 障がい者主動のAI開発システムが人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞
掲載媒体:PR TIMES(プレスリリース配信サービス)
発表企業:株式会社クオルテック
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000142037.html

受賞情報

項目 内容
受賞名 2025年度人工知能学会全国大会 優秀賞
開催日 2025年5月27日~30日
開催場所 大阪国際会議場
研究テーマ 障がい者主動のAI開発を実現するHuman-in-the-Loop機械学習システム
共同研究 株式会社クオルテック × 住友電気工業株式会社
開発開始 2024年

研究の背景

両社はAIによるデータ解析ソフトウェアの開発を進める中で、性能向上の鍵となる教師データ(アノテーション)の作成に共通の課題を抱えていました。

研究開始までの経緯
課題の発見:両社がAI開発において教師データ作成に課題を認識
住友電工の取り組み:知的障がい者を中心的に起用したデータ解析業務を推進
2024年:共通認識を基に「誰でも簡単に使える」システムの共同開発を開始
2025年5月:人工知能学会全国大会で優秀賞を受賞

Human-in-the-Loopシステムの仕組み

Human-in-the-Loopとは

Human-in-the-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)
人間とAIが相互に補完しながら動作するシステムのこと。人間のフィードバックをAI学習サイクルに組み込むことで、より精度の高いAIモデルを効率的に開発できます。

システムの3つのサイクル

システムの特徴

特徴 詳細説明 利点
直感的な操作 AI開発の複雑さを意識せずに操作可能 専門知識不要で作業できる
フィードバック組み込み 人間の判断をAI学習に反映 AIの精度が段階的に向上
効率的なサイクル 教師データ作成→学習→検証を繰り返す 短時間で高精度なモデルを構築
ユーザー中心設計 知的障がい者の方でも使いやすいUI/UX 誰でも簡単にAI開発に参加可能

従来のアノテーション作業との違い

項目 従来のアノテーション作業 本システム
作業範囲 データのラベル付けのみ AIモデルの作成まで
専門知識 基本的な指示理解が必要 専門支援なしで実施可能
フィードバック 作業後に別途評価 リアルタイムでAIに反映
成果物 教師データ(アノテーション) 学習済みAIモデル

検証結果と今後の展望

検証実験の概要

検証実験では、住友電工グループ企業に所属する知的障がい者の方々にご協力いただき、実際にシステムを使用してAI開発タスクに取り組んでいただきました。

検証結果

評価項目 結果 詳細
タスク完遂率 100% 全参加者がAI開発タスクを完遂
操作性評価 高評価 直感的で使いやすいとの評価
アノテーション精度 健常者と同等 品質面での差異なし
専門支援の必要性 不要 システムのみで作業完結

本研究が示した3つの重要な発見

  • 能力の証明:知的障がい者の方々が適切なツールがあればAIモデル作成まで担えることを実証
  • 品質の保証:健常者と同等のアノテーション精度を確認し、業務品質を担保
  • 独立性の実現:専門的な支援を必要とせず、自立的にAI開発業務に取り組める環境を構築

業務範囲の拡大イメージ

時期 業務内容 特徴
これまで アノテーション作業 データへのラベル付けのみ
本研究で実証 AIモデルの作成 教師データ作成から学習・検証まで
今後の可能性 より高度なAI開発業務 新たな業容の拡大

今後の展望

株式会社クオルテックは、住友電工との強固なパートナーシップのもと、知的障がい者の方々の業容に新たな可能性を広げる研究開発を継続していく予定です。

社会的意義
本研究は、AI技術の発展と障がい者雇用の拡大を両立させる可能性を示しました。適切なツールとシステム設計により、これまで限定的だった業務範囲を大きく広げることができ、障がい者の方々の社会参加と自立を促進する重要な成果となっています。

論文・企業情報

論文URL:人工知能学会論文

株式会社クオルテック
本社所在地:大阪府堺市堺区三宝町4丁230番地
主な事業:半導体・電子部品の不良解析、品質管理コンサルタント、レーザ加工技術、試験装置開発

参考・免責事項
本記事は2025年11月5日時点でPR TIMESに掲載されているプレスリリース情報に基づいて作成されています。記事内容は原文の情報を分かりやすく図表化したものであり、解釈や表現は編集者によるものです。より詳細な情報や正確な内容については、出典元のプレスリリースおよび論文をご参照ください。