プログラミングの起源・歴史考察|19世紀から現代AIまでの進化を辿る

プログラミングの起源・歴史考察|19世紀から現代AIまでの進化を辿る

更新日:2025年12月28日

プログラミングはいつ、どのように生まれたのか。世界初のプログラマーとされるエイダ・ラブレスから、FORTRAN、C言語、そして現代のPythonに至るまで、約200年にわたるプログラミングの進化を調査・考察してみました。技術革新の歴史を理解することで、今後のトレンドを読み解くヒントになれば幸いです。
プログラミングの起源・歴史考察|19世紀から現代AIまでの進化を辿る

1. プログラミングの起源と黎明期

1.1 プログラマブル機械の源流

プログラミングの概念は、現代のコンピュータが登場するはるか以前から存在していた。1206年、イスラムの発明家アル=ジャザリは、カムによって演奏パターンを変更可能な自動演奏装置を製作した。これは「最古のプログラマブルな機械」と呼ばれることがある。

より直接的な影響を与えたのは、1801年に登場したジャカード織機である。この織機はパンチカードを使用して布の模様を制御する仕組みを持ち、カードを入れ替えることで異なる模様を織ることができた。この「穴の配列でパターンを指定する」という発想は、後の計算機開発に大きなヒントを与えた。

プログラミング前史の主要イベント
1206年:アル=ジャザリによる自動演奏装置の製作
1801年:ジャカード織機の発明(パンチカード方式)
1822年:バベッジが階差機関の設計を開始
1833年:バベッジとエイダ・ラブレスの出会い
1843年:エイダ・ラブレスによる最初のプログラム記述

1.2 チャールズ・バベッジと解析機関

イギリスの数学者チャールズ・バベッジ(1791-1871)は、「コンピュータの父」と呼ばれる人物である。1820年代、バベッジは計算間違いだらけの対数表を眺めながら「数表作成をすべて機械にやらせよう」と着想し、1822年に階差機関(Difference Engine)の設計を開始した。

階差機関は多項式の演算を歯車で自動的に行う計算機であったが、バベッジはさらに野心的な構想へと進んだ。1830年代に考案された解析機関(Analytical Engine)は、パンチカードによるプログラム入力、演算装置、記憶装置を備えた汎用計算機の設計であり、現代のコンピュータアーキテクチャの先駆けとなる概念を含んでいた。

1.3 世界初のプログラマー:エイダ・ラブレス

1815年、詩人バイロン卿の娘としてエイダ・ラブレス(Ada Lovelace)が誕生した。母アナベラは娘に一流の数学教育を施し、エイダは幼少期から論理的思考と詩的想像力の両方を備えた人物として成長した。

1833年、17歳のエイダはバベッジのサロンで階差機関のデモンストレーションに参加し、その仕組みに魅了された。以後、二人は生涯にわたる協力関係を築いていく。1843年、エイダはイタリアの数学者ルイジ・メナブレアが書いた解析機関に関する論文を英語に翻訳し、原文の2倍以上に及ぶ注釈を付け加えた。

エイダ・ラブレスの先見性
エイダの注釈には、ベルヌーイ数を計算するためのアルゴリズムが含まれており、これが「史上初のコンピュータプログラム」とされている。さらに注目すべきは、彼女が解析機関を単なる計算機としてではなく、音楽の作曲など数値以外の操作にも応用可能な汎用機械として捉えていた点である。

エイダは1852年に36歳で早世したが、1979年に米国国防総省が開発したプログラミング言語には彼女の名にちなんで「Ada」と命名された。また、毎年10月にはSTEM分野で活躍する女性を称える「エイダ・ラブレス・デー」が開催されている。

2. プログラミング言語の発展史

2.1 電子計算機の登場と機械語時代

20世紀に入り、電子計算機の開発が本格化した。1946年、世界初の汎用電子計算機ENIACが完成し、続いてプログラム内蔵方式のEDVACが開発された。この時代のプログラミングは、0と1のバイナリコード(機械語)を直接記述するか、ニーモニックと呼ばれる略記号を手作業でバイナリに変換する方法が取られていた。

1951年、ナサニエル・ロチェスターがIBM 701用に世界初のアセンブラを開発した。これにより、略語表記の命令を機械語に自動変換することが可能となり、プログラミングの効率が大幅に向上した。

2.2 高水準言語の誕生

1950年代後半、人間にも理解しやすい高水準言語の開発が始まった。以下の表に主要なプログラミング言語の誕生と特徴をまとめる。

Table 1. プログラミング言語の発展年表(1950年代〜1980年代)
年代 言語名 開発者/組織 主な用途・特徴
1957 FORTRAN IBM(ジョン・バッカス) 世界初の高級言語、科学技術計算向け
1958 ALGOL58 欧州研究者グループ 構造化プログラミングの基礎、後続言語に影響
1958 LISP ジョン・マッカーシー 人工知能研究向け、関数型プログラミング
1959 COBOL CODASYL委員会 事務処理向け、英語に近い構文
1964 BASIC ケメニー、カーツ 教育用、習得が容易
1970 Pascal ニクラウス・ヴィルト 構造化プログラミング教育向け
1972 C言語 デニス・リッチー システム開発向け、UNIXの実装言語
1972 Smalltalk アラン・ケイら 世界初のオブジェクト指向言語
1983 C++ ビャーネ・ストロヴストルップ C言語にオブジェクト指向を導入
1983 Objective-C ブラッド・コックス C言語+Smalltalk、後のiOS開発言語
1987 Perl ラリー・ウォール テキスト処理、CGI開発向け

2.3 オブジェクト指向とWeb時代の到来

1990年代に入ると、オブジェクト指向プログラミングが主流となり、インターネットの普及に伴ってWeb開発向け言語が相次いで登場した。

Table 2. プログラミング言語の発展年表(1990年代〜2010年代)
年代 言語名 開発者/組織 主な用途・特徴
1991 Python グイド・ヴァン・ロッサム シンプルな文法、汎用性が高い
1995 Java サン・マイクロシステムズ クロスプラットフォーム、企業システム向け
1995 JavaScript ネットスケープ Webフロントエンド開発の標準
1995 Ruby まつもとゆきひろ 日本発、オブジェクト指向スクリプト言語
1995 PHP ラスマス・ラードフ Webサーバーサイド開発向け
2000 C# Microsoft Windows開発、.NETプラットフォーム
2009 Go Google 高速コンパイル、並行処理に強い
2010 Rust Mozilla メモリ安全性、システムプログラミング向け
2012 TypeScript Microsoft JavaScriptに型付けを追加
2014 Swift Apple iOS/macOS開発向け、Objective-Cの後継
プログラミングパラダイムの変遷
プログラミング言語は、手続き型(FORTRAN、C)→ 構造化プログラミング(Pascal)→ オブジェクト指向(Smalltalk、Java)→ 関数型(Haskell、Scala)と、より抽象度の高いパラダイムへと進化してきた。近年は複数のパラダイムを組み合わせたマルチパラダイム言語が主流となっている。

3. 現代のプログラミングと今後の展望

3.1 2025年のプログラミング言語トレンド

TIOBEインデックスやStack Overflow Developer Surveyなどの調査によると、2025年現在のプログラミング言語人気ランキングは以下のようになっている。

Table 3. 2025年プログラミング言語人気ランキング(TIOBE Index基準)
順位 言語名 人気度 主な活用分野
1 Python 23.08% AI/機械学習、データサイエンス、Web開発
2 C++ 10.33% ゲーム開発、組み込みシステム、高性能計算
3 C言語 9.76% OS開発、組み込みシステム、ハードウェア制御
4 Java 9.53% 企業システム、Androidアプリ開発
5 C# 5.12% Windows開発、ゲーム開発(Unity)
6 JavaScript 4.87% Webフロントエンド、Node.js
7 Go 2.45% クラウド、マイクロサービス
8 SQL 2.12% データベース操作
9 Visual Basic 1.98% Windowsアプリケーション
10 Rust 1.85% システムプログラミング、WebAssembly

Pythonは2024年に人気度が9.3%上昇し、AI/機械学習分野での需要増加を背景に圧倒的な1位を維持している。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、Pythonの重要性はさらに高まっている。

3.2 注目される新興言語

既存言語の課題を解決するため、新たなプログラミング言語も登場している。

今後注目すべき言語

  • Rust:メモリ安全性と高速性を両立。MicrosoftがWindowsカーネルの一部をRustに置き換えるなど、大規模プロジェクトでの採用が増加
  • TypeScript:JavaScriptに静的型付けを追加し、大規模開発での品質向上に寄与。フロントエンド開発で急速にシェア拡大
  • Go:Googleが開発したクラウドネイティブ言語。Kubernetesなどのコンテナ技術で広く使用
  • Mojo:2023年発表の新言語。PythonとC++の強みを併せ持ち、AI開発での高速化を実現
  • Zig:Rustの競合として注目。2024年には149位から61位に急上昇

3.3 AI時代のプログラミング

生成AIの進化により、プログラミングのあり方も大きく変化しつつある。GitHub CopilotやChatGPTなどのAIツールは、自然言語からコードを自動生成する機能を提供し、開発効率を飛躍的に向上させている。

一方で、AIが生成したコードの品質管理や、複数言語を横断的に理解できるエンジニアの価値は今後さらに高まると考えられる。プログラミングは単なる「コードを書く作業」から、「AIと協働して問題を解決する活動」へと変容しつつある。

プログラミング200年の軌跡
1843年にエイダ・ラブレスが記した最初のプログラムから約180年。機械語からアセンブリ、高水準言語、オブジェクト指向、そしてAI時代へと、プログラミングは常に「より人間に近い形での表現」を目指して進化してきた。この流れは今後も続き、やがて自然言語そのものでプログラミングが可能になる時代が訪れるかもしれない。
参考・免責事項
本記事は2025年12月28日時点の情報に基づいています。TIOBE Index(2025年4月)、Stack Overflow Developer Survey 2025、各種技術文献を参照しました。プログラミング言語の選択は目的や環境に応じて異なるため、専門家にご相談ください。