フェノロジー研究による淀川流域植物群落の季節変化メカニズム
淀川流域の植物群落は、温帯湿潤気候の明瞭な季節性により特徴的な年間動態を示す。平均気温の年較差25℃、降水量の季節偏在、日長時間の変化等が複合的に作用し、植物の生活史戦略・繁殖フェノロジー・群集構造に深刻な影響を与えている。本研究では26年間の長期観測データに基づき、植物季節学(phenology)の理論的枠組みから群落動態を解析する。
種(年間観測対象)
萌芽→開花→結実→落葉
3-11月集中観測
レコード(累積)
植物フェノロジーは、気温・光周期・降水量等の環境要因に対する植物の時間的応答パターンである。Growing Degree Days(GDD)・Chill Hours・Photoperiod等の統合指標により、開花・展葉時期の予測が可能となる。
萌芽・展葉・開花期における植物生理生態学的解析
成長最適域
種(開花・展葉)
高温期における適応戦略と外来種侵入動態
高温ストレス期
バイオマス比
種子散布期における繁殖戦略と越冬準備
最大繁殖活動
風・鳥・付着・重力・爆発
休眠期における耐寒性と生理生態学的適応
低温制限期
種(常緑・ロゼット)
26年間の観測により、気候変動による植物フェノロジーの変化が明確に検出されている。特に春季の早期化(10年で4-6日)、秋季の遅延化(10年で8-12日)により、成長期間の延長が確認された。
RCP8.5シナリオ下では、2100年までに現在の亜熱帯要素が淀川流域で優占し、温帯要素は大幅に縮小すると予測される。在来植物の保全には、フェノロジー変化を考慮した適応的管理が不可欠である。