1.1 拡張機能の概要

Overview of Chrome Extensions

Chrome拡張機能とは

Chrome拡張機能(Chrome Extension)とは、Google Chromeブラウザの機能を拡張・カスタマイズするための小さなプログラムである。HTML、CSS、JavaScriptといったWeb技術で構築され、ブラウザの動作を変更したり、新しい機能を追加したりできる。

拡張機能は以下のようなことが可能である。

  • Webページの見た目や動作を変更する
  • ブラウザのUIを拡張する(ツールバーボタン、サイドパネルなど)
  • ブラウザのイベントに反応して処理を実行する
  • 外部サービスとの連携を行う
  • ユーザーの生産性を向上させるツールを提供する
拡張機能の例 広告ブロッカー、パスワードマネージャー、翻訳ツール、スクリーンショット撮影、開発者ツール拡張など、多岐にわたるカテゴリの拡張機能がChrome Web Storeで公開されている。

Chromiumベースブラウザとの互換性

Chrome拡張機能は、Chromiumエンジンを使用する他のブラウザでも動作する。これにより、一度開発した拡張機能を複数のブラウザで利用できる可能性がある。

ブラウザ 互換性 備考
Google Chrome 完全対応 基準となるブラウザ
Microsoft Edge 高い互換性 Chrome Web Storeから直接インストール可能
Brave 高い互換性 Chrome Web Storeから直接インストール可能
Opera 高い互換性 拡張機能を有効化後にインストール可能
Vivaldi 高い互換性 Chrome Web Storeから直接インストール可能
注意 ブラウザ固有のAPIを使用している場合や、特定の権限が必要な場合は、互換性が制限されることがある。また、各ブラウザのストアに公開する場合は個別の審査が必要となる。

拡張機能でできること

Chrome拡張機能は、Chrome APIsを通じて様々な機能にアクセスできる。主な機能カテゴリを以下に示す。

ページ操作

  • Webページの内容(DOM)を読み取り・変更
  • CSSを注入してスタイルを変更
  • JavaScriptを注入して動作を追加

ブラウザ操作

  • タブの作成・移動・閉じる操作
  • ブックマークの管理
  • 履歴へのアクセス
  • ダウンロードの管理

ユーザーインターフェース

  • ツールバーにアイコンを追加
  • ポップアップウィンドウの表示
  • 右クリックメニューへの項目追加
  • サイドパネルの実装
  • 通知の表示

データ管理

  • 拡張機能固有のストレージ
  • デバイス間でのデータ同期
  • Cookieへのアクセス

拡張機能の制限

セキュリティとプライバシー保護のため、拡張機能にはいくつかの制限が設けられている。

  • 権限の明示:必要な権限をmanifest.jsonで宣言し、ユーザーの許可を得る必要がある
  • コンテンツセキュリティポリシー(CSP):インラインスクリプトの実行が制限される
  • 特定ページへのアクセス制限:chrome://やChrome Web Storeページへの介入は不可
  • リモートコードの実行禁止:Manifest V3では外部からのコード読み込みが禁止
Manifest V3の変更 Manifest V3では、セキュリティ強化のため、バックグラウンドページがService Workerに変更され、リモートコードの実行が禁止されるなど、大きな変更が加えられている。詳細は1.3節で解説する。

開発の流れ

Chrome拡張機能の開発は、以下の流れで進める。

  1. 企画:解決したい課題、必要な機能を明確化
  2. 設計:必要なコンポーネント、権限、APIを決定
  3. 実装:manifest.json作成、各コンポーネントのコーディング
  4. テスト:ローカルで拡張機能を読み込み、動作確認
  5. デバッグ:DevToolsを活用して問題を解決
  6. 公開:Chrome Web Storeへの申請・公開
  7. 運用:ユーザーフィードバック対応、アップデート
最小構成 最も単純な拡張機能は、manifest.jsonファイル1つから作成できる。段階的に機能を追加していくことで、学習しやすい。
参考文献
[1] Chrome Extensions Documentation - What are extensions?
[2] Chrome for Developers - Extension development overview