保全生物学・復元生態学による統合的管理戦略
淀川流域の植物多様性は、都市化・河川改修・気候変動・外来種侵入等の複合的脅威により深刻な危機に直面している。絶滅危惧種180種の減少、在来群落の劣化、生態系機能の低下が進行する中、科学的根拠に基づく保全戦略の確立が急務となっている。本研究では、保全生物学・復元生態学・景観生態学の統合的アプローチにより、効果的かつ持続可能な保全管理システムを構築する。
種(在来植物全種)
種(優先保全対象)
ha(過去20年累計)
目標達成事業割合
現代の保全生物学は、単一種保護から生態系保全、さらには社会-生態システム(Social-Ecological System)の持続可能性確保へと発展している。IUCN・CBD・IPBES等の国際的枠組みと、生物多様性国家戦略・地域戦略の整合性を図りつつ、科学的根拠に基づく実効性の高い保全計画を策定する。
MARXAN等の系統的保全計画手法により、限られた資源で最大の保全効果を達成する最適解を科学的に決定。希少性・代表性・補完性・実現可能性・費用効果性を統合した多基準評価により、保全優先地域を客観的に選定する。
理論研究の成果を実際の保全管理に応用し、具体的な成果を創出している。特に淀川大堰湿地復元プロジェクト(15.6ha、128種復元)、木津川河畔林在来林化事業(45.2ha)等の大規模事業で顕著な成果を達成。
種数維持目標
個体群安定化
重要地域保護区化
劣化生態系回復
「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」に基づき、2030年までに陸域の30%を保護区とする「30by30」目標達成に向け、Other Effective area-based Conservation Measures(OECM)の活用、Nature-based Solutions(NbS)の実装、生態系サービスへの支払い(PES)制度の構築等を推進する。