最終更新:2025年11月29日|段階的精緻化パターン、各ステップでのレビュー指針を反映

概要

大きなタスクを一度にAIに依頼すると、品質が低下し、レビューも困難になります。段階的依頼(Incremental Requests)は、タスクを小さなステップに分割し、各ステップでレビュー・検証を行う技法です。

大きなタスクは小さく分割し、各ステップでレビューする。

なぜ段階的に依頼するのか

悪い例 vs 良い例

❌ 悪い例:一括依頼

ユーザー管理、商品管理、注文管理、決済機能、 通知機能を持つECサイトのバックエンドAPIを全部作って

問題点:

  • 出力が膨大でレビュー困難
  • 品質にばらつきが出る
  • 問題があった場合の修正が大変
  • コンテキストウィンドウを圧迫

✓ 良い例:段階的依頼

Step 1: 「ユーザーモデルとCRUD APIを作成」

→ レビュー・テスト → 承認

Step 2: 「商品モデルとCRUD APIを作成」

→ レビュー・テスト → 承認

Step 3: 「注文モデルを作成(ユーザー・商品との関連を含む)」

→ レビュー・テスト → 承認

...

段階的依頼のフロー

タスク分割 Step 1 依頼 AI生成 レビュー 承認/修正 Step 2 依頼 ...

実践ガイド

1

タスクを分解する

大きなタスクを論理的な単位に分割します。

分割の基準:

  • 1つのステップ = 1つの責務(Single Responsibility)
  • 各ステップが独立してテスト可能
  • 依存関係を考慮した順序
例:ECサイトAPI 1. ユーザーモデル + CRUD 2. 商品モデル + CRUD 3. カートモデル + 操作API 4. 注文モデル + 作成API 5. 決済連携 6. 通知機能
2

各ステップを依頼する

1つのステップずつAIに依頼します。前のステップのコードをコンテキストとして提供します。

【前回作成したコード】 (ユーザーモデルのコードを貼り付け) 【今回の依頼】 上記のユーザーモデルを参照して、 商品モデルとCRUD APIを作成してください。 【要件】 - 商品は作成者(ユーザー)と紐づける - カテゴリ、価格、在庫数を管理
3

各ステップでレビューする

AIの出力を必ずレビュー・テストしてから次に進みます。

レビュー観点:

  • 要件を満たしているか
  • 前のコードとの整合性
  • セキュリティ・パフォーマンス
  • コーディング規約への準拠
4

問題があれば修正を依頼する

問題を発見したら、具体的に修正を依頼します。

以下の点を修正してください: 1. create_product関数にバリデーションを追加 - 価格は0以上 - 在庫数は負にならない 2. SQLインジェクション対策を確認 - パラメータ化クエリを使用しているか 3. エラーハンドリングを追加 - 商品が見つからない場合は404を返す

ステップサイズの目安

目安:1ステップで生成されるコードが100-300行程度

よくある質問

Q: 分割しすぎると効率が悪くなりませんか?

A: 一見非効率に見えますが、レビュー・修正のコストを考えると、段階的アプローチの方が総合的に効率的です。大きなコードの問題発見・修正は非常にコストがかかります。

Q: 前のステップのコードを毎回貼り付けるのが面倒です

A: 必要な部分(インターフェース、型定義)のみを貼り付けてください。全コードを毎回貼る必要はありません。また、AIツールによっては会話履歴を保持するため、「前回作成した〇〇を参照して」と指示できます。

参考文献

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コンテキスト提供技法

Human-AI協働パターン

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