MCPの基本概念

Model Context Protocol - AIとローカル環境をつなぐ架け橋

MCPとは何か?

MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが開発した、大規模言語モデル(LLM)とローカル環境やサービスを安全に接続するためのプロトコルです。これにより、Claudeがファイルの読み書き、データベースへのアクセス、外部APIの呼び出しなど、実際の作業を実行できるようになります。

Claude Desktop

AIアシスタント

MCP

プロトコル層

ローカル環境

ファイル・API・DB

MCPの主な特徴

セキュアな接続

MCPは、AIモデルとローカルリソースの間に安全な境界を設定します。明示的に許可されたリソースのみにアクセスでき、権限の範囲を細かく制御できます。

プラグイン型アーキテクチャ

様々なMCPサーバーをプラグインとして追加できます。ファイルシステム、GitHub、Slack、データベースなど、必要に応じて機能を拡張できます。

標準化されたプロトコル

統一されたJSON-RPCベースのプロトコルにより、異なるサービス間で一貫した操作方法を提供します。

MCPでできること

ファイル操作

ローカルファイルの読み書き、ディレクトリ操作、ファイル検索など

GitHub連携

リポジトリ操作、プルリクエスト作成、Issue管理など

データベース接続

SQLクエリ実行、データの取得・更新、スキーマ管理など

Slack統合

メッセージ送信、チャンネル管理、ファイル共有など

Web API呼び出し

外部APIとの連携、Webhook処理、データ同期など

シェルコマンド実行

システムコマンド実行、スクリプト起動、プロセス管理など

MCPのアーキテクチャ

基本構造

MCPは以下の3つの主要コンポーネントで構成されています:

  1. MCPクライアント(Claude Desktop) - AIアシスタントからのリクエストを処理
  2. MCPサーバー - 実際の操作を実行するバックエンド
  3. トランスポート層 - クライアントとサーバー間の通信を管理

通信フロー

1. Claude: "ファイルを読みたい"
   ↓
2. MCPクライアント: リクエストを生成
   ↓
3. MCPサーバー: ファイル読み取り実行
   ↓
4. MCPクライアント: 結果を受信
   ↓
5. Claude: 結果を表示

MCPの設定ファイル

MCPの設定は、claude_desktop_config.jsonファイルで管理されます。

{
  // MCPサーバーの設定
  "mcpServers": {
    // ファイルシステムサーバー
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-filesystem",
        "C:\\path\\to\\allowed\\directory"
      ]
    },
    // GitHubサーバー
    "github": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-github"
      ],
      "env": {
        "GITHUB_TOKEN": "your-github-token"
      }
    }
  }
}

MCPサーバーの種類

サーバー名 用途 主な機能 必要な設定
server-filesystem ファイル操作 読み書き、検索、移動 アクセス許可ディレクトリ
server-github GitHub連携 リポジトリ操作、PR作成 GitHubトークン
server-slack Slack統合 メッセージ送信、チャンネル管理 Slackトークン
server-postgres PostgreSQL接続 クエリ実行、データ操作 接続文字列
server-memory メモリストレージ セッション間でのデータ保持 なし

セキュリティ考慮事項

重要なセキュリティ注意事項

  • 最小権限の原則: 必要最小限のディレクトリ・権限のみを許可する
  • 機密情報の保護: パスワードや秘密鍵を含むディレクトリへのアクセスは避ける
  • トークンの管理: APIトークンは環境変数で管理し、設定ファイルに直接記載しない
  • 定期的な監査: MCPのアクセスログを定期的に確認する

MCPの利点と制限

利点

  • AIの能力を実世界のタスクに拡張
  • 手作業の大幅な削減
  • エラーの削減と一貫性の向上
  • 複雑なワークフローの自動化

制限事項

  • ローカル環境への依存(Claude Desktopが必要)
  • ネットワーク遅延の影響を受ける場合がある
  • 複雑な権限管理が必要な場合がある
  • すべての操作が元に戻せるわけではない

MCPを使い始める

次のステップ

MCPの基本概念を理解したら、実際に環境を構築してみましょう。まずは最も基本的な「ファイルシステムMCP」から始めることをお勧めします。

  1. Claude Desktopのインストール
  2. Node.js環境の準備
  3. MCPサーバーのインストール
  4. 設定ファイルの作成
  5. 動作確認

まとめ

MCPは、AIアシスタントと実世界のリソースを安全に接続する強力なプロトコルです。適切に設定することで、Claudeがあなたの開発パートナーとして、実際のファイル操作やAPI連携を行えるようになります。セキュリティを意識しながら、段階的に機能を拡張していくことが成功の鍵です。