1. なぜPythonがAI開発で選ばれるのか
シンプルで読みやすい構文
Pythonは「読みやすさ」を重視した言語設計になっており、複雑なAIアルゴリズムを簡潔に表現できます。
豊富なライブラリエコシステム
NumPy、pandas、scikit-learn、TensorFlowなど、AI・機械学習に必要なライブラリが充実しています。
強力なコミュニティ
世界中の研究者や開発者がPythonを使っており、豊富な情報とサポートを得られます。
高速なプロトタイピング
アイデアを素早く実装してテストできるため、AI研究や開発のスピードが向上します。
2. Python基本文法の復習
AI開発でよく使う基本構文
リストとタプル
# リスト(可変)
data = [1, 2, 3, 4, 5]
data.append(6) # [1, 2, 3, 4, 5, 6]
# リスト内包表記
squared = [x**2 for x in data if x > 2] # [9, 16, 25, 36]
辞書(Dictionary)
# 辞書の作成と操作
student = {
'name': '太郎',
'age': 20,
'grades': [85, 90, 78]
}
# 要素の取得
print(student['name']) # 太郎
print(student.get('email', 'なし')) # なし(デフォルト値)
3. AI開発に必須のライブラリ
NumPy - 数値計算の基盤
多次元配列オブジェクトと、それを操作するための関数群を提供します。全てのAIライブラリの基礎となっています。
pandas - データ操作とデータ分析
表形式データの読み込み、操作、分析を簡単に行えるライブラリです。CSVファイルやデータベースとの連携も簡単です。
scikit-learn - 機械学習ライブラリ
分類、回帰、クラスタリングなど、様々な機械学習アルゴリズムを統一されたAPIで提供します。
4. データ操作の基本
AI開発でよく行うデータ操作
CSVファイルの読み込みと基本的な確認
# データの読み込み
df = pd.read_csv('data.csv')
# データの基本情報
print(df.info()) # データ型と欠損値の確認
print(df.head()) # 最初の5行を表示
print(df.describe()) # 統計サマリー
5. 簡単な機械学習の実例
住宅価格予測の完全なコード例
実際のデータを使って、住宅価格を予測する機械学習モデルを作成してみましょう。
ステップ1: ライブラリのインポートとデータ準備
import pandas as pd
import numpy as np
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.linear_model import LinearRegression
from sklearn.metrics import mean_squared_error, r2_score
# データの読み込み(実際はCSVファイルから読み込み)
df = pd.read_csv('housing_data.csv')
print(df.head())
6. 開発環境の構築
推奨する開発環境
クラウド環境(初心者推奨)
メリット
- 環境構築不要ですぐに始められる
- 高性能なGPUを利用可能
- チーム間でのコード共有が簡単
おすすめツール
- Google Colab - 無料でGPU利用可能
- Kaggle Notebooks - データセット豊富
- Jupyter Notebook on Azure - Microsoft製
まとめ
Pythonは学習コストが低く、強力なライブラリエコシステムを持つため、AI開発の入門に最適な言語です。まずは基本的なデータ操作から始めて、簡単な機械学習モデルの実装を通じて経験を積んでいきましょう。実際にコードを書いて動かすことが、理解を深める最良の方法です。
学習のポイント
- Python選択の理由:シンプルな構文、豊富なライブラリ、強力なコミュニティがAI開発に最適
- 必須ライブラリ:NumPy、pandas、scikit-learn、matplotlibが基本的なツールセット
- データ操作:pandasでのデータ読み込み、クリーニング、前処理が重要な基礎スキル
- 実践的学習:簡単な予測モデルから始めて、段階的に複雑な問題に挑戦
- 環境選択:初心者はクラウド環境、本格開発にはローカル環境がおすすめ
- 継続学習:実際のプロジェクトを通じて経験を積み、スキルを向上させる