1. AIの黎明期(1950年代)
チューリングテストの提案(1950年)
アラン・チューリングが「機械は考えることができるか?」という問いを提起し、機械の知能を判定する方法を提案しました。
ダートマス会議(1956年)
ジョン・マッカーシーらが主催した会議で、「人工知能(Artificial Intelligence)」という用語が正式に誕生しました。
2. 第1次AIブーム(1960年代)
初期の成功事例
- Logic Theorist(1955年):数学の定理を自動証明する初のAIプログラム
- ELIZA(1964年):心理療法士を模倣する初期のチャットボット
- チェッカープログラム(1959年):「機械学習」という用語が初めて使用された
この時代は非常に楽観的で、「20年以内に機械は人間のできる知的作業をすべて行えるようになる」という予測もありました。
3. 第1次AIの冬(1970年代)
技術的限界の発見
- 組み合わせ爆発:複雑な問題では計算量が指数的に増加
- フレーム問題:状況変化の認識が困難
- 自然言語処理の壁:人間の言語の曖昧性を理解できない
ライトヒル・レポート(1973年)
AI研究への批判的レポートが発表され、多くの国でAI研究予算が大幅削減されました。
4. 第2次AIブーム(1980年代)
エキスパートシステムの時代
専門家の知識をルールベースで表現するシステムが登場し、実用化が進みました。
- MYCIN:血液感染症の診断システム
- XCON/R1:コンピュータ設定システム(年間4000万ドルのコスト削減)
日本の第五世代コンピュータプロジェクト
1982年から10年間、570億円を投じた国家プロジェクトが実施されました。
5. 第2次AIの冬(1990年代前半)
エキスパートシステムの限界
- 知識獲得のボトルネック
- 柔軟性の欠如
- 維持・更新の困難さ
300社以上のAI企業が倒産・事業撤退し、AI産業は大きく衰退しました。
6. 機械学習の台頭(2000年代)
復活の要因
- インターネットの普及:大量のデータが利用可能に
- 統計的機械学習:規則ベースからデータ駆動型へ
- 計算能力の向上:より複雑な計算が可能に
実用化の成功事例
- 1997年:IBM Deep Blueがチェス世界チャンピオンに勝利
- 1998年:Google PageRankアルゴリズム
- 2001年:Netflix推薦システム
7. ディープラーニング革命(2010年代)
ブレークスルー
2012年:AlexNetの衝撃
画像認識コンテストでエラー率を26%から15%に削減。ディープラーニングブームの火付け役となりました。
- 2014年:GANの登場(リアルな画像生成)
- 2016年:AlphaGoが囲碁世界チャンピオンに勝利
- 2017年:Transformerアーキテクチャの発表
技術を支えた要因
- GPU/CUDA技術による高速計算
- 大規模データセット(ImageNetなど)
- 深層ニューラルネットワークの発展
8. 現代のAI(2020年代〜)
大規模言語モデルの時代
- GPT-3(2020年):1,750億パラメータ
- ChatGPT(2022年):2ヶ月で1億ユーザー(史上最速)
- GPT-4(2023年):マルチモーダル対応
生成AI競争
OpenAI、Google、Anthropic、Metaなど、主要テック企業が競って生成AIサービスを開発・公開しています。
2024年ノーベル物理学賞
ジェフリー・ヒントンが「ディープラーニングの父」として受賞。AI研究の重要性が世界的に認められました。
まとめ
AIの歴史は期待と失望の繰り返しでした。しかし、70年以上の研究の積み重ねが、現在の生成AI時代を実現しました。今後もAIは社会を大きく変革していくでしょう。