本日の発表:AI業界を揺るがす大型アップデート
2025年9月30日、AI開発企業Anthropicは最新モデル「Claude Sonnet 4.5」を発表しました。同社は「世界で最も優れたコーディングモデル」と自信を持って宣言しています。
このモデルは、OpenAIのGPT-5やGoogleのGemini 2.5 Proといった競合の最新モデルを上回る性能を示し、特にソフトウェア開発の分野で圧倒的な実力を発揮します。
Claude Sonnet 4.5の3つの凄いポイント
1. コーディング能力が業界トップに
実際のソフトウェア開発能力を測るベンチマーク「SWE-bench Verified」で、Claude Sonnet 4.5は82.0%という驚異的なスコアを記録しました。これは:
- GPT-5を上回る性能
- コーディング特化モデル「GPT-5-Codex」よりも高性能
- 前世代のClaude Opus 4.1を大きく上回る
実際の使用では、30時間以上にわたって複雑なコーディングタスクを自律的に実行できることが確認されています。これは単なるコード生成ツールではなく、実際の開発プロジェクトを任せられるレベルです。
2. PC操作が得意なAI
PC上での実際の作業能力を測る「OSWorld」ベンチマークで61.4%のスコアを獲得し、首位を獲得しました。
これにより、Claudeは以下のようなことができます:
- Webブラウザを自動操作
- スプレッドシートにデータを入力
- 複数のアプリケーションを連携して作業
新しく発表された「Claude for Chrome」拡張機能を使えば、あなたがブラウザでやっている作業をClaudeが代わりに実行してくれます。
3. 安全性が大幅に向上
AI開発で常に問題となる「不正な行動」のリスクが、Claude Sonnet 4.5では大幅に低減されています:
- 嘘をつく傾向が減少
- ユーザーに過度に迎合しない
- 権力志向的な回答をしない
- 危険な要求に従わない
AnthropicはAI安全性基準「ASL-3」を適用し、特に化学兵器・生物兵器・核兵器などに関する危険な情報を自動的に検出・ブロックするフィルターを搭載しています。
全Claudeモデルとの比較
Claudeは2024年3月の「Claude 3」シリーズ登場以来、急速に進化してきました。ここでは全バージョンを比較します。
Claudeモデルの進化の歴史
モデルの種類と特徴
Claudeには3つのシリーズがあり、それぞれ特徴があります:
Opusシリーズ(最高性能)
- 用途:最も複雑なタスク、研究開発、戦略分析
- 特徴:最高の知能と推論能力
- 価格:最も高価(入力$15/100万トークン、出力$75/100万トークン)
Sonnetシリーズ(バランス型)
- 用途:企業での日常業務、コンテンツ生成、データ処理
- 特徴:性能と速度のバランスが良い
- 価格:コストパフォーマンス重視(入力$3/100万トークン、出力$15/100万トークン)
Haikuシリーズ(高速・低価格)
- 用途:リアルタイム対話、カスタマーサポート、簡単なタスク
- 特徴:最速で最も安い
- 価格:最安値(入力$0.25/100万トークン、出力$1.25/100万トークン)
モデル性能の比較マトリクス
主要バージョンの歴史
発表日 | モデル | 主な特徴 |
---|---|---|
2024年3月 | Claude 3シリーズ | Opus/Sonnet/Haikuの3モデル体制開始。画像入力対応 |
2024年6月 | Claude 3.5 Sonnet | Claude 3 Opusを超える性能。コーディング能力大幅向上 |
2024年10月 | Claude 3.5 Haiku | Claude 3 Opus並みの性能を高速・低価格で実現 |
2025年2月 | Claude 3.7 Sonnet | 拡張思考モード搭載。推論プロセスを可視化 |
2025年5月 | Claude 4シリーズ | Opus 4.1とSonnet 4登場。大幅な性能向上 |
2025年9月30日 | Claude Sonnet 4.5 | 世界最高のコーディング性能。30時間以上の自律動作可能 |
ベンチマーク結果:競合との比較
Claude Sonnet 4.5は、ほとんどの主要ベンチマークでトップスコアを記録しました:
主要AIモデルのベンチマーク比較
各ベンチマークの意味
- SWE-bench Verified:実際のソフトウェア開発タスクをどれだけ解決できるか
- OSWorld:PC上で実際の作業をどれだけ自動化できるか
- HumanEval:プログラミング問題をどれだけ正確に解けるか
- GPQA:大学院レベルの科学問題を解く能力
価格とコストパフォーマンス
Claude Sonnet 4.5の大きな魅力は、価格が従来のSonnet 4と同じという点です:
項目 | 価格(100万トークンあたり) |
---|---|
入力(20万トークン以下) | $3(約446円) |
入力(20万トークン超) | $6(約892円) |
出力(20万トークン以下) | $15(約2,230円) |
出力(20万トークン超) | $22.5(約3,345円) |
これはClaude Opus 4.1(入力$15/出力$75)の5分の1の価格で、より高いコーディング性能を得られることを意味します。企業ユーザーにとっては大きなコストメリットです。
日本のユーザーへの影響
開発者への影響
日本のソフトウェア開発現場では、以下のような変化が予想されます:
- 開発速度の向上:コードレビュー、リファクタリング、バグ修正を大幅に効率化
- 品質の向上:セキュリティ監査やテスト作成を自動化
- 学習コストの削減:新しい技術の学習をAIがサポート
企業での活用
Cursor、GitHub、Netflixなどの企業がすでに早期アクセスで高評価しています。日本企業でも以下の活用が期待されます:
- 社内システムの開発・保守の効率化
- ドキュメント作成の自動化
- データ分析業務の支援
利用方法
Claude Sonnet 4.5は以下の方法で利用できます:
- Claude.ai:Webブラウザから直接利用(無料プランでも利用可能)
- API:Claude API、Amazon Bedrock、Google Cloud Vertex AIで提供
- 開発ツール:VS Code拡張機能「Claude Code for VS Code」
関連製品のアップデート
Claude Code(開発者向け)
Claude Codeには以下の新機能が追加されました:
- チェックポイント機能:作業の進捗を保存し、いつでも前の状態に戻せる
- VS Code拡張機能:IDEから直接Claudeを利用可能
- ターミナルインターフェース2.0:コマンドライン操作が大幅に改善
Imagine with Claude(研究プレビュー)
Maxプラン契約者限定で、5日間だけ体験できる特別機能です。Claudeがリアルタイムでソフトウェアを作成する様子を見ることができます。
まとめ:AI開発競争の新たな局面
Claude Sonnet 4.5の登場により、AI開発競争は新たな段階に入りました。主なポイントは:
- コーディング能力:業界トップの性能を達成
- 長時間動作:30時間以上の自律的なタスク実行が可能
- コストパフォーマンス:価格据え置きで性能大幅向上
- 安全性:AI業界で最も整合性の取れたモデル
OpenAIのGPT-5やGoogleのGemini 2.5 Proに押され気味だったAnthropicが、コーディング分野で明確なリードを奪い返した形です。
今後は、これらの技術がどのように実際のビジネスや開発現場で活用されていくかが注目されます。日本のソフトウェア産業にとっても、開発手法を大きく変える可能性を秘めた発表です。
用語集
- SWE-bench Verified: 実際のソフトウェア開発タスクをAIがどれだけ解決できるかを測定するベンチマーク。GitHubの実際の問題を使用して評価する
- OSWorld: AIモデルがPC上で実際の作業をどれだけ自動化できるかを評価するベンチマーク。Webブラウジング、ファイル操作、アプリケーション連携などの能力を測定
出典: Anthropic - Introducing Claude Sonnet 4.5(2025年9月30日)
参考: GIGAZINE、窓の杜、Impress Watch、TechCrunch、CNBC 各記事(2025年9月30日)
登録日: 2025年9月30日