Google・Yaleの新LLM「C2S-Scale」が細胞との対話を可能に

GoogleとYale Universityは4月17日、細胞レベルの生物学を理解・解釈する大規模言語モデル「Cell2Sentence-Scale(C2S-Scale)」を共同で開発したと発表しました。このオープンソースモデルは、複雑な細胞データを人間が理解しやすい「細胞文」に変換し、研究者が細胞に対して自然言語で質問できるようにするものです。

細胞と「会話」できるAI

C2S-Scaleの最も革新的な点は、細胞データを自然言語に変換することで、研究者が細胞に対して直接質問できるようになる点です。例えば、「この細胞はがん性ですか?」や「この細胞は薬Xにどう反応しますか?」といった質問を投げかけると、AIが細胞データを分析し、生物学的に正確な回答を自然言語で提供します。

医学研究の加速に期待

この技術は以下のような領域での応用が期待されています:

オープンソースで科学を民主化

C2S-Scaleはオープンソースとして公開されており、世界中の研究者がアクセスして利用することができます。これにより、高度な細胞生物学の知識を持たない研究者でも、複雑な細胞データを理解し、分析できるようになります。

Googleの研究チームは「C2S-Scaleは生物学とAIの架け橋となる技術です。細胞レベルの複雑なデータを誰もが理解できる形に変換することで、医学研究の加速と科学の民主化に貢献します」とコメントしています。

Yale Universityの研究者たちも「この技術により、細胞から直接学ぶことができるようになります。これまで膨大な時間と専門知識を要していた細胞データの解析が、自然な対話を通じて行えるようになるのです」と述べています。

今後の展望

研究チームは今後、より多様な細胞タイプや疾患モデルに対応できるようモデルを拡張する予定で、特に稀少疾患研究やパンデミック対応など、緊急性の高い医学的課題への応用を目指しています。

C2S-Scaleの発表は、AIが医学研究の方法論そのものを変革する可能性を示す重要な一歩と言えるでしょう。

出典: Google Blog - Our new C2S-Scale LLM helps researchers have conversations with cells.(2025年4月17日)

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