OpenAIが複雑な調査タスクを自動化する「deep research」機能をリリース

OpenAIは2025年2月2日、ChatGPT向けの新機能「deep research」を発表しました。この機能は、インターネット上の情報を収集・分析・合成し、複雑な調査タスクを自動化するエージェント能力を提供します。人間が数時間かけて行う調査作業を数十分で完了させることができます。

deep researchの主要機能と特徴

deep researchは、複雑な調査タスクを実行するために設計された新しいエージェント機能です。主な特徴は以下の通りです:

OpenAI Deep Researchの処理フロー
Deep Researchシステムアーキテクチャ
OpenAI Deep Researchが複雑な調査タスクを実行するための処理フロー

この機能はOpenAIの最新モデル「o3」をベースにしており、ウェブブラウジングとデータ分析に最適化されています。o3は、OpenAI o1と同じ強化学習手法を使用してトレーニングされていますが、より広範なコンテキストと情報収集能力を持っています。

利用シーン

deep researchは以下のような分野での知識集約型作業に特に有効です:

例えば、「iOSとAndroidの採用率、言語学習希望者の割合、モバイル普及率の変化を先進国と発展途上国で比較し、新しい翻訳アプリのターゲット市場を推奨してほしい」といった複雑なリクエストに、包括的なレポートを提供することができます。

性能評価

deep researchは複数のベンチマークで優れた性能を示しています:

GPT-4oとdeep researchの比較

deep researchとGPT-4oはそれぞれ異なる強みを持っています:

機能 deep research GPT-4o
適した用途 多面的、分野特化型の調査
深さと詳細さが重要な場合
広範な情報収集が必要な場合
リアルタイムの会話
マルチモーダル対話
即時的な回答が必要な場合
処理時間 5〜30分 数秒〜数分
情報の範囲 インターネット全体 トレーニングデータのみ
引用 各主張に対する詳細な引用 一般的な知識の要約

使用方法

ChatGPTでdeep researchを使用するには:

OpenAI Deep Researchの調査プロセス
Deep Researchの調査プロセス
Deep Researchの調査プロセスフロー。ユーザーが入力した説明から結果を生成するまで
  1. ChatGPTのメッセージ作成画面で「deep research」を選択
  2. 調査したい内容を質問として入力(コンテキストを追加するためのファイル添付も可能)
  3. 実行開始後、サイドバーに実行ステップとソースの要約が表示される
  4. 研究の複雑さに応じて5〜30分程度かかる場合があります
  5. 完了すると通知が表示され、チャット内にレポートが表示されます

今後数週間のうちに、レポートに画像、データの可視化、その他の分析出力が埋め込まれる機能が追加される予定です。

利用可能範囲と今後の展開

deep researchの利用可能範囲と今後の展開は以下の通りです:

OpenAIは、deep researchは「知識を統合する能力は新しい知識を生み出すための前提条件」であり、AGI(汎用人工知能)の開発に向けた重要なステップであると位置づけています。

制限事項

OpenAIはdeep researchにはいくつかの制限があることも認めています:

「知識を統合する能力は新しい知識を生み出すための前提条件です。そのため、deep researchはAGIを開発するという私たちの広範な目標に向けた重要なステップであり、新たな科学的研究を生み出す能力を長期的に構想しています。」— OpenAI

出典: OpenAI - Introducing deep research(2025年2月2日)

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